【くらげ物語②】
この泉から出ると景色が変わった。今まで光の雫だと思っていたものが違って見えた。それは魚の様な人の様な透明で光を通す不思議な存在だった。これが何なのかわからなかった。ふと魔導書を思い出して、慌てて部屋に戻って読みふけった。
世話役のお姉さまに呼ばれても上の空で、常に魔導書が頭から離れなかった。そんな姿に呆れたトリトン様についに聞かれてしまった。なにがあったのか……一通り話すとトリトン様は、少し呆れたように手に持っているグラスをクルクルと回した。
「お前が見つけたのは、以前……わたしの姉が使っていた隠し部屋だね。取り壊したはずだったんだがね。まだ残っていたとは……そしてお前は何故か風の精のシルフ。水の精ヴォジャノーイからも好かれてしまっているのだな。こっちおいで……お前は夜の女神オイティリオンにも愛されてしまったのだね。」
「トリトン様……それはどういうことなのです?」
「お前はもともと特別な子だからな。言葉を持たない種族から生まれた特別で愛しい子。きっと愛されてしまうのだろう。愛され好かれてしまうのは悪い事ではない。ただ私には教えられないのだ。それがどういう意味を持つのか。仕方ない……姉に頼むか……」
「お父様!!それは、まさかあの魔女にこの子を託すということですか?」
「お姉さま?魔女とは?」
「いい?魔女は怖いのよ。契約を結んではダメ。覚えておいてね。どんなに甘美な言葉にも裏があるのよ。お父様はもう……決められてしまったのですね。」
「そうだよ。この愛しい子は学ぶ必要があるからね。お前には、これをあげよう……海の底で月の光と太陽の光をたくさん蓄え珊瑚たちに祝福をされ磨かれたガラスで出来た貴重なペンだよ。きっとお前を守ってくれるよ。今夜は満月だ泉で身を清めておきなさい。そしたら明日イルカに送らせよう。大丈夫……お前は愛されるべき蜂蜜酒なのだから。」
トリトン様はそっと、抱きしめてくださった。その大きな身体が少し震えていたトリトン様の寂しい手放したくないという感情が流れ込んで来た。今までにない感覚だ。
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