#詩の朗読 #6 #つめたいメロン #小川未明
おかあさんが、れいぞうきの ふたを おあけなさると、いい においが しました。
「二郎じろうちゃん、メロンが つめたく なって いますよ。にいさんが かえったら、きって あげましょうね。」
と おっしゃいました。
二郎じろうさんは じぶんも、にいさんの しゃせいに いって いる、ぼくじょうへ いって みようかと おもって いると、おばさんが、きみ子こさんを つれて、おいでに なりました。
きみ子こさんは、すぐ おにわへ でて ぶらんこに のりました。
二郎じろうさんは、バケツの 中なかの かにを、きみ子こさんに みせて やりました。
「メロンを きりましたから、いらっしゃい。」
と、おかあさんが およびに なりました。ふたりは とんで きました。
「この つめたいのを、にいさんに やりたいなあ。」
と、二郎じろうさんが いうと、
「まあ、かんしんなこと。」
と、おばさんが おほめに なりました。おかあさんは、メロンを バスケットに いれて くださいました。
「わたしも いっしょに。」
と、きみ子こさんは、二りん車しゃの うしろに のりました。
二郎じろうさんは スピードを だして はしりました。シャツの そでが 風かぜに ふくらんで、かみのけが ふわふわしました。
「メロンを もって きた!」
と、ふたりが さけびました。すずしい 木きの 下したで、太郎たろうさんは、クレヨンで うしの えを かいて いました。
青空文庫より
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