【リューココリーネ】
ここ数日…携帯の着信音が気になっていた
スーパーでカートを押しながら…
友人とお茶をしながら…
私の頭の中は、彼の事を考えていた。
もうすぐ私達が出会ってから2年目になる
あれから毎日のように文字や声でのやり取りはしていても、彼と会える日は数える程だ。
お互い、それぞれ持っている肩書きに追われる日々…
その生活に不満は無いけれど
今、私は確実に彼を求めている…。
だけど私は自分から連絡はしない
それは、プライドのようなものでは無く
彼からの連絡を待っている、と言う行為が既に私を高揚させるからだ。
昨年の今頃、二人はミモザ色の天蓋ガーデンのベッドの中に居た。
今年はどんな素敵な景色を私に見せてくれるのかと想像するだけで心がときめく。
彼から今年は和食にしたよ、と連絡が入って
私は和室にある桐のタンスから季節の着物を選んだ。
彼は、どんな顔をするのだろう…
約束の日…いつものように私の最寄駅に近い駐車場に彼の車があった。
彼を独占出来る。
車の中から私を見つけた彼は、いつものように車から降りて助手席のドアを開けてくれた。
「君の和服姿は初めて見たな」と彼が呟く。
目黒にある、ホテル雅叙園東京…
都内に居る事を忘れさせてくれる景色が広がる
その和室に二人は居た。
少し前に食べた食事で帯がきつい、
早くこの帯をほどきたいと思いながら
私は、襖の絵を見ていた…
何時間見ていても飽きないこの絵の横に
飾り棚があって…
リューココリーネの花が飾られていた。