「は」の神様からのメッセージ ―はる―
春浅い日
母と北鎌倉を巡り歩いた
円覚寺、明月院、葉祥明美術館…
古びた喫茶室でお茶を飲み
父に小さなお土産を買った
まだ何も始まっていなかった
まだ何も終わっていなかった
すべてが
春らんまんに向かっていた
は
時が来ると
萌えだす命
燃え尽きる命
は
と 息を吐き
息を呑み
初めて感動する
初めて慟哭
どうこく
する
そして ふたたび
はるのように
新しい命にぬりかえられる
新しい朝に出会っていく
は
息を吐くたび
ピンクに尖ったカプセルが弾けて
沈丁花が香りだす
は
息を呑むたび
雲が割れて
あたたかい雨がこぼれ出す
はるかな宇宙のみなもとへ
息を投げ
息を受け取り
は
いまあるかぎりの
いのちを燃やす
いのちを匂い立たせていく
(朗読フリーです😊)