ら行の詩 セレスタイト
セレスタイトは
わたしが子どものころからにぎりしめてきた
あおいかなしみです
ゆめにみた
ガラスのお城のおひめさまのように
キラキラと
無音のさけびをとじこめています
声がくぐもった日のよなか
まくらのしたとまくらのうえ
セレスタイトのたましいとたましいのわたしは
ひと晩じゅう
むいしきの宙(そら)をさまようのです
茶色いかぜがふいてきて
わたしの
あ い う え お
ら り る れ ろ
な に ぬ ね の
だ ぢ づ で ど
からめとられちぢんでゆきます
きぶくれたつきひ ぬぎすてると
ちちの愛がほしかった
ははの愛がほしかった
おとうとたちの愛がほしかった
いつまでもおさないわたしのたましいが
ぐるぐると
声をなくしてうなだれています
あおいゆめ
天上へ
いくどもひらかれ
とじられて
わたしは
さびしかったわたしの声をききます
のびのびした あいうえお を
はずんだ らりるれろ を
あまい なにぬねの を
きっぱりした だぢづでど を
ひとつずつ ひとつずつ
とりかえすために
こよいも
まくらのしたとまくらのうえ
セレスタイトのたましいとたましいのわたしは
ガラスのお城のおひめさまへ
声をつくして
かたりかけるのです
朗読フリーです。
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