■性的虐待とファンタジーについて
実父による性的虐待のニュースを見て疑問に思ったことがありました。高間先生のnoteによると、父による性的虐待や母による情緒的ネグレクトの場合、子供は母親を中心としたファンタジーを持っているものの、父親からの性的虐待に関しては虐待と認識しているため、ファンタジーを持っていないということですか?それとも父親からの虐待を受ける子供自身は、自分が悪いからこんなことをされるのだとか、これで家庭が円満にいられるとか、そういったファンタジーを持ってしまうのでしょうか?もし両親に対してファンタジーを持ってしまうとしたら、母親に対するファンタジーが崩れると、自然と父親へのファンタジーも崩れるのでしょうか?両親がファンタジーだったことを同時に知ったら、救いがなさすぎます。
高間先生の記事に出会ってから、ニュースなどで上記のような話題が取り上げられた時に、私の見方が変わりました。興味本位ではなく、理解していきたいと思っているのですが、もし質問が不快に思われる方がいらっしゃったら申し訳ありません。
■ファンタジーは母親に対してのもの
ファンタジーについては難しい話題かもしれませんが、この考え方の基本で一番大事なところは、ファンタジーは母親に対して持つということです。一般的にいうと、ファンタジーは養育者に対して持つということです。愛着理論では養育者は一人であって、一般的には母親が養育者となります。子供は養育者との接触時間が長い母親を主たる養育者とみなします。ですから、子供は母親に対してファンタジーを持っているのですが、父親に対してはファンタジーを持っていません。
母親による性的虐待のケースもあるかもしれませんが、ほとんどの場合、父親が自分の娘を性的虐待するというケースが報道されています。この場合、父親に対しては、ファンタジーというよりも複雑性PTSDの関係になるのです。
情緒的ネグレクトされている場合、子供は母親による愛着障害になりますが、父親による性的虐待や身体的虐待、心理的虐待を受けている場合は、父親による愛着障害ではなく、父親による複雑性PTSDになるのです。
複雑性PTSDと愛着障害
複雑性PTSDと愛着障害は非常に似ていると考えられますが、愛着障害では特にファンタジーが発生します。そのため、カウンセリングの目標は、この母親へのファンタジーが壊れること照準にします。この目標に向かってカウンセリングは進んでいきます。
以上が複雑性PTSDと愛着障害についての基本的な内容です。ご理解いただけたでしょうか。それではまたお会いしましょう。