ショートSTORY【月が綺麗だね】🌕　朗読して下さい🥰

#朗読　 #ショートSTORY #月が綺麗だね　　【月が綺麗だね】　八畳ほどの和室には蚊帳が吊ってあってその中には布団が敷いてあるお風呂から上がって首周りに白い粉をパタパタしてもらってから、その蚊帳の中に転がり込むのが好きだった… 祖母は、腰を落として素早く蚊帳をくぐる　薄暗い部屋には蚊取り線香の匂いがして　　子供心に、これが夏の匂いだと知っていた… 浴衣姿の祖母が、うちわで手招きをする。幼かった私は、まるで回転レシーブをしているかのような動きをしながら　その中へ入った。　何とも言えない安心感の中、布団へ潜り込む、祖母は、「上手に入れたね」と私を褒めた　　消えかけた蚊取り線香に気がついた祖母が　マッチ箱を手に取り器用につけた火がゆらぐのを見ているのも好きだった… いつものお昼寝をし損ねた私には、既に夜だが、大人にとってはまだ宵の口　　布団で目を閉じている私の方に、うちわを向けて、ゆっくり左右に動かしながら祖母が言った… 「今夜は月が綺麗だね」　まだ、網戸にしていた和室から　きっと月が見えたのだろう… 私は、その月を見る事もなく目を閉じていた　聞こえていた、風鈴の音が小さくなって… やがて私は何も考えずに眠っていた。　　そのくらいが丁度良い… 大人になった今、エアコンの中で　スマホから「月にはパワーがあるんです」だの「月に光に黄色のお財布をかざすと…」だの… 情報が溢れ出して　目を背けようとしても得体の知れないものが　迫ってくる。　　今、祖母が月を見たら何て言うのだろう… きっと　「月が綺麗だね」　それだけだろう…そんな事を考えると何故かあの頃の自分に戻れて安心している…。

ショートSTORY【月が綺麗だね】🌕 朗読して下さい🥰

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