精神医療で、20年以上前から言われていることですが、認知行動療法が効果的なのは、【精神年齢(実年齢ではなく)が成人期】にまで上がってきた場合です。
つまり認知行動療法を行うには、患者さん側に社会的アイデンティティ(エリクソンの思春期の発達課題)が獲得されたことが前提になります。
愛着問題のある人にとっては、それはトラック競技に例えると、第四コーナーを曲がって、最終にさしかかったときなのです。治療過程のその時期に使えば役に立つと思います。
しかしそこに至るまでには、愛着障害の治療、あるいは愛着不全の専門的な治療が成されることが必要と考えています。
実際、多くのクライエントさんを見ていると、認知の歪みの修正などのトレーニングからスタートすることは、彼らにとっては「否定」から始まることになりますので、早期にドロップしてしまうのです。
愛着が希薄な中を生き延びてきた彼らにとって、最重要なことは、彼らの認知の歪みを修正することではないのです。むしろ、歪みがあったからこそ生きて来れた、その行動を褒めてあげること、強化してあげることです。これによって面接室に安全な場所が確保されます。この関係性が彼らの治療を後押しして行くのです。
15年以上前になりますが、DBTの研修を受けたことがあり、その報告も詳しくサイトに乗せてありますので、ご覧ください。ここには実際のワークショップで感じた(認知)行動療法の弱点?も具体的に書かれていますので、参考になるかと思います。
弁証法的行動療法(DBT)の実際|高田馬場での境界性パーソナリティ障害研修⇒
https://solea.me/2018/07/13/dbt-training-in-baba/