楠木の下で
苔むした幹に触れる
雨あがりの楠木
てのひらをつたって吸い上げた
胸底のよどみ
梢から
葉裏から
ひとしずく
ひとしずく
零(こぼ)していく
緑の雨
からっぽになったわたしは
なめらかな上澄みだけをたたえ
日々のくらしへ
もどっていく
くる日も
くる日も
だから
立っていて
いつまでも
わたしが老い
やがていのちを運べなくなっても
透き通って
また誕生して
風のように
何度でも
出会ってゆけるよう
ざわめく夜も
いばらの朝(あした)も
このちじょうにいきているかぎり
昨日から
明日から
はるかな光のめぐりから
清めにいく
抱きしめにいく
楠木を
永遠のあなたを
⭐️音楽…2月の雨(甘茶の音楽工房)
#くすのき #雨