「だいたいノイズです」
目玉焼きがくるくる回って
そのまま宇宙へ飛んでいった
あれ、ぼくのじゃないよね?
たぶん、誰かの夢だった
ソファに話しかける朝
空に貼りついたまま眠ってた
ミカンの皮が地図になって
ぼくの場所だけ穴があいた
意味はない
あるいはありすぎる
頭の中で風が吹いてぼくの
ナニカを飛ばしてしまうのさ
だいたいノイズです
左から右へ通りすぎていった
だいたいノイズです
名前がつく前に消える感じのやつ
ペンのインクが夢を描いて
途中で意味が変わってしまう
水の中で電話が鳴って
声はぜんぶやさしかった
引き出しの奥 朝が光って
ぼくの手だけがついていかない
スリッパが何かを呟いて
床にメロディが残った
なんでもないけど 覚えてる
どこにも行かないけど 動いてる
頭の裏でなんかざわめいて
まばたきのあとに消えていく
だいたいノイズです
ぼくの中で生まれてすぐ忘れるもの
だいたいノイズです
ときどきとてもきれいな色をしてる
だいたいノイズです
誰も気づかないけどそれはたしかに
だいたいノイズです
悲しいほどぼくの心をかき鳴らしてる
だいたいノイズです
だいたいノイズです