認知症の高齢者によく見られるのが、「さっき食べたのに、まだ食べていない」と訴える場面です。家族からすると「さっき食べたでしょう」と言いたくなりますが、本人にとっては記憶が途切れており、強い不安や不満につながっていることがあります。
ここで大切なのは、「嘘をついているわけではない」と理解することです。短期記憶の障害によって直前の出来事が残らないために起こる現象であり、責めても解決にはなりません。
対応の工夫としては、食事の記録を写真やメモで残す、少量を複数回に分けて提供する、食べた後にお茶を一緒に飲むなど「終わった感覚」を残すことが役立ちます。また、「一緒に何か口にする」ことで安心感を与えるのも効果的です。
家族がストレスを溜め込まないためにも、「繰り返しは病気の症状」と受け止め、必要に応じて専門職に相談しましょう。本人の尊厳を守りながら、日々を少しでも穏やかに過ごせる工夫こそが、尊厳介護の実践なのです。
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