不思議な塔
不思議な塔に行った
誰かの跡をおって
塔の中には
砂でできた山がそびえたっていた
先に行ったはずの誰かはいない
上の方が光っているので
とにかく登ろうと
心を決めた
怖いから下は見ない
時折崩れそうになる砂山には
誰かが残した足跡
そこに自分の足を重ね
体をくっつけるようにして
無我夢中で登った
そうしてやっと辿り着いた塔の上には
誰も居なかったけど
小さな窓があって
開いてみると
街が見下ろせた
オレンジ色の屋根
異国の街並み
日の光が眩しくて心地良い
清々しくて懐かしい気分
息を弾ませながら
泣きたくなるような笑顔で
窓から街を眺めた
知っている
この街の名前は…..
そこでパッと目が覚めた
忘れないうちに
一生懸命記憶の欠片をかき集める
でもサラサラと
砂の山が崩れるように
記憶が溶け出していく
あの街の名前は
あの街の名前は
結局記憶は戻ってこなかった
追いかけていった誰かは
目覚めた時には胸の中いっぱいに
散らばっていた
胸の奥の奥の奥の方に
行っていたのかもしれない
という感覚だけが残った
2025.5.26
須藤三千穂さんのあ行の詩を読んだ後に観た夢の記録
ジムノペディ第1番
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スマホメモの整理をしていたら、忘れていた夢の記録が出てきました。
短文で急いで書きとめたような感じだったので、それを少し整えて詩風に朗読してみました。
詩人の須藤三千穂さんの『あ行の詩』は下記リンクからどうぞ!
https://stand.fm/episodes/6831a26b09f6a890540d75ec
この夢は、三智穂さんの詩が生み出してくれたものかもしれません。
BGMは『ジムノペディ第1番/エリック・サティ』
http://classical-sound.seesaa.net/
文の最後にこの曲が書かれていたのです。
この時ちょうど、テレビでこの曲をピアノで練習している人の番組を観ていたので、この夢にはこの曲が合う、と思って書き留めていたのかもしれません。
記憶にはないのですが、まさか曲の指定までしているなんて.....
忘れてしまっていた過去の自分、なかなかやるなぁ。笑
#朗読 #夢の記録 #不思議な塔 #ジムノペディ第1番 #エリックサティ #詩のようなもの #クラシック