だって、あなたはいい子だから。
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「これは…かなり深刻そうだなぁ」
ひとりごとの主に視線を向ける。
画面に照らされたその顔には、でかでかと「心配」の文字が書かれていた。
そんなかわいい後輩を放っておけるわけもなく、渋々声をかける。
「どうした?お前が心配事なんて…、当日を猛吹雪にするのはやめてくれよ?」
「あ〜ん、せんぱ〜い、見てくださいよー」
いまにも泣き出しそうな表情で、液晶を俺に向ける。
「この子、僕の担当の子なんですけど…」
表示された文字に軽く目を通す。
「なるほど…確かに深刻そうだ。自分が嫌いな子か」
「そうなんです。この子を笑顔にするなんて、僕にできるんでしょうか…」
「しっかりしろ、お前がそんなんだと子どもたちも笑顔になれないぞ」
しょぼくれた背中を軽く叩いてやると、後輩は背筋を伸ばした。
「そうですね、どんな子も笑顔にする!それが僕たちの仕事です」
そう言うと、先ほどまでのあれはなんだったのかというほどの素早さでサンタクロースが完成した。
「それじゃあ先輩!いってきます!」
「は?」
俺が止めるよりも先に、後輩は夜の闇に溶けてしまった。
「まったく、クリスマスまで時間がないってのに…。だいたい、サンタクロースってのはクリスマスに会いに行くもんだろ」
宛先のない言葉が、部屋の中に浮かんで消えた。
ため息をひとつ、伸びをひとつして、デスクに向かう。
「あいつがあわてんぼうのサンタクロースをやっているうちに、こっちは終わらせてやるか」
まったく、いつまでも手のかかる後輩だぜ。
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