超新星ニュートリノも、ニュートリノの質量発見も、実はカミオカンデにとって「本命」ではなかった。この装置の正式名称は神岡ニュークリオン・ディケイ・エクスペリメント――核子崩壊実験。1983年の観測開始以来、狙い続けているのは、物質の基本粒子である陽子が壊れる瞬間だ。40年以上、一度も観測されていないが、その「見えない」という事実自体が、陽子の寿命に10の34乗年以上という下限値を与え、理論を絞り込む重要なデータになってきた。もし観測できれば、自然界の3つの力が統一されるという大統一理論の証拠となり、ビッグバン直後の宇宙にも迫れる。現在、神岡ではさらに8倍の規模を持つハイパーカミオカンデが建設中で、小柴博士が最初に目指した目的が、孫世代の装置で決着するかもしれない。
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