タイトルやサムネイルからロマンティック・ファンタジーみたいなものを想像されるかたは多いかと思われますが、ファンタジックでホラーチックな描写こそあれ、あくまでもリアルな恋愛を描いたラブ・ストーリーです。
モチーフは「対物性愛」。生き物ではなく、物体に性的な恋愛感情を抱いてしまう志向の人のことです。
実際、2007年にエッフェル塔と結婚したアメリカ女性がいたことが、本作の企画の発端になったとのこと。
内向的なジャンヌは深夜の遊園地で働くことになり、そこで遊具=アトラクションの「ムーブ・イット」の美しさに惹かれ、やがてジャンボと言う名前をつけ、恋に落ちていきます。
ジャンボもまた光や色で彼女の言葉に反応し、ついには体の関係まで……。
しかし、彼女の恋を周囲は決して理解しようとはせず、そして彼女に惹かれていた上司は、客の人気がイマイチのジャンボを……。
数々の美しくもエロティックなデートシーンは、端から見るとジャンヌの妄想かもしれませんが、彼女自身にとってはリアルなものであり、それを邪魔される謂れはありません。
「命なき物よ お前にも魂があり 僕らに愛を求めるのか?」(アルフォンス・ド・ラ・マルティーヌ)
この詩のようにジャンヌは愛をジャンボに与え、応えてもらっているだけなのです。
『燃ゆる女の肖像』のノエミ・メルランが、ここでも内向的な女性の情熱的な恋を見事に体現。
恐らくは賛否を含めて、さまざまな意見が飛び交う問題作でもあるかと思われます。
ただ、前半が秀逸だった分、クライマックスからラストにかけての性急さは個人的には惜しまれるところでした。
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