荻江節「鐘の岬」は昭和45年に初演された日本舞踊の演目です。一言でいうと、女性の恋心をしっとりと綴った作品、とでもいいましょうか。
【テキスト解説】
https://oreno-nihonbuyou.com/kanenomisaki/
【歌詞】
鐘に怨みは数々ござる 初夜の鐘をつく時は
諸行無常(しょぎょうむじょう)とひびくなり 後夜の鐘をつく時は
是生滅法(ぜしょうめっぽう)とひびくなり 晨朝(しんちょう)の響きには生滅々為
入相(いりあい)は寂滅為楽(じゃくめついらく)とひびけども 聞いて驚く人も無し
われも五障の雲晴れて 真如の月を眺め明かさん
言はず語らず我が心 乱れし髪の乱るるも
つれないは只移り気な どうでも男は悪性もの
桜々とうたはれて 言うて袂のわけ二つ
勤めさへただうかうかと どうでも女子は悪性もの
吾妻(あずま)そだちは蓮葉なものじゃえ
恋のわけ里数へ数へりゃ 武士も道具を伏編笠で
張りと意気地の吉原 花の都は歌で和らぐ敷島原(しきしまばら)に
勤めする身は誰と伏見の墨染
煩悩菩提(ぼんのうぼだい)の撞木町(しゅもくちょう)より 浪花四筋に通ひ木辻の
禿(かむろ)立ちから 室(むろ)の早咲きそれがほんの色ぢゃ
一い二う三い四 夜露雪の日下の関路を
ともにこの身を馴染みかさねて
中は円山ただまるかれと 思い染めたが縁じゃえ