◾️症状
ものもらいとは、まぶたにある脂や汗を出す腺に細菌が感染して起こる急性の化膿性炎症のことです。地域によっては「めばちこ」、「めいぼ」などともいわれますが、学術的には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」や「霰粒腫といいます。
◾️麦粒腫とは
まぶたの縁や内側に細菌が感染して、まぶたの一部が腫れて赤くなるものです。
①外麦粒腫
「まつ毛の毛根」に感染した場合
②内麦粒腫
「まぶたの内側」のマイボーム腺に感染した場合
はじめは、まぶたに局所的な赤みがあらわれ、しばしば「軽い痛み」や「かゆみ」を伴います。
炎症が進むと、「赤み」腫れ、痛みが強くなることも。化膿が進むと、腫れた部分が自然に破れて膿が出ることがあります。膿が出た後、症状は回復に向かいます。
◾️麦粒腫の原因
細菌は多岐に渡り、涙で洗い流せる弱い菌もあれば「黄色ブドウ球菌」など重症化しやすい菌もあります。主に、細菌がついた手指で目を触ることで感染します。
◾️霰粒腫とは
まつ毛の内側には、「マイボーム腺」という、目を乾燥から守るために必要な脂質が出る分泌腺があります。このマイボーム腺の出口が詰まり、慢性的な炎症が起きた結果、肉芽腫という塊ができる病気です。麦粒腫と異なり、「細菌感染を伴わない炎症」です。
◾️霰粒腫の主な症状
「まぶたの腫れ」や」異物感」多くは、痛みも赤みもなくまぶたの内側にコロコロとしたしこりのような塊ができます。
◾️急性霰粒腫
炎症を伴った場合は麦粒腫と似た症状が出ることがある
まぶたの一部が赤く腫れ、まばたきをしたり指で押したりすると「痛み」があります。患部が広がると、まぶた全体が「腫れ」「目やに」が出ます。また、「目がかゆい」目が赤い」「目がゴロゴロ」するなどの症状もみられます。
数日で皮下にうみがあらわれ、放置すると皮膚が破れてうみが出ます。うみが出ると治ることが多いのですが、重症化することもあります。
◾️結膜炎とものもらいの違い
・ウイルス性結膜炎
人へ感染する
結膜の表面に全体に炎症が起こります
・ものもらい
人へうつらない
炎症が結膜の中まで進み、一部分が腫れてしこりが感じ られます。
◾️ものもらいの原因
原因菌の多くは黄色ブドウ球菌です。黄色ブドウ球菌は、化膿した傷に存在することが多いのですが、健康な人ののどや鼻、皮膚、手指、毛髪、腸管などにも分布しています。感染力が弱く、感染する危険は大きくありませんが、目にケガをしたときや病気などで身体の抵抗力が落ちたときに目をこすったりすると、ものもらいができることがあります。
◾️抗菌薬による治療
ものもらいの治療では、主に黄色ブドウ球菌を殺菌できる抗菌点眼薬や抗菌眼軟膏が用いられます。症状が重い場合は抗菌内服薬を用いる場合があります。治療が適切な場合は、約1~2週間で完治します。
◾️外科的治療
症状が重い場合は、小さな切開を行い、うみを排出させることがあります。
◾️治療の際に気を付ける点
ものもらいは、他の人にうつる病気ではありません。ただし、汚れた手で患部をいじると、治りが遅くなったり、完治しても再発したりする場合があります。患部を不必要に触らないようにしてください。
* ものもらいが治るまでには一般的に期間はどのくらいかかりますか?
ものもらいの種類によって違います。麦粒腫はでき始めに適切な抗菌剤入り目薬を使うと1週間程度で治ります。霰粒腫もでき始めに抗菌剤入り目薬を使い、炎症を予防することができれば早く治りますが、しこりができてしまうと薬が炎症部分に届かなくなり、治るまでに何ヶ月もかかる場合もあります。
* ものもらいになりやすい季節はありますか?
諸説ありますが、季節を問わず起こります。咽頭性結膜炎(プール熱)のように夏に多いものもありますが、ウイルス性結膜炎は冬に起こりやすいものもあります。原因が様々なので一年中起こる可能性があるでしょう。四季を通じて注意が必要です。