モノガタリードットコムで書いている小説を朗読しています。きいてくださった方ありがとうございます😊
お題「春、新幹線のホームで」で書いた
「ついに来た〜憧れの〜」
アオは仕事から帰って来ると
入浴後寝る前のひと時に動画を見るのが楽しみだった。
最初はかわいいネコの動画を見ていたが
そのうちなぜか
野球の凄い人の外野からホームベースまでの返球や
バス運転手の切り返しなど
カミワザにハマった。
そしてたどりついたのが
「新幹線が高速でホームを通過する」だった。
春がきて移動しやすくなった今日この頃
アオはついに来た。
新幹線が最も高速で通過する
という駅のホームに。
入場券を買いホームに到着。
時刻表も見ずノープランで来たが
何とかなるだろうと思っていた。
運が良かったのか高速で通過する新幹線は
あっちからもこっちからもあり
数回見ることができた。
流石だ。現場で見ると迫力満点だ。
おそらく今このホームで
こんなにも気持ちが高ぶっているのは
アオだけであろう。
「もう、満足した?もういいかな?録画するの。」
背後で恋人のエンドウが言った。
エンドウは数日前
「有給消化でまとまった休みが取れるから
どこか旅行に行かない?」とアオに言った。
「私行きたい所があるの!」
アオは目をキラキラさせて言った。
そして
県外の初めて来た場所なのに
お目当ての駅に着くと早足でエスカレーターに乗った。
エンドウには理解できなかった。
エンドウの言葉に振り向いたアオは
「うん。満足した!後から動画も見れるしね!」
興奮と感動が入り混じっていた。
「動画、誰が撮ったんだよ。」
エンドウも笑いながら言った。
「次はエンちゃんの行きたいトコ、好きなことに付き合うよ。」
アオのあまりにもかわいい笑顔にエンドウはついに言ってしまった。
「アオ、結婚しよう。これからはずっと一緒にいてよ。」
春、新幹線のホームでアオが聞いたのは
プロポーズの言葉だった。
それを聞き逃さなかったツバメが
祝福するように鳴きながら飛んだ。
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