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ひこうき雲〜ゆいの帰国〜⑨

おききくださりありがとうございます😊 🌟お題「機内を舞台にした物語」で書いた   ひこうき雲〜ゆいの帰国〜 https://www.alphapolis.co.jp/novel/197273722/208712455/episode/6636732 第9章 ソウタお兄ちゃん 🌱登場人物 航空会社の客室乗務員(海外勤務)のゆい ゆいの大学時代からの友人ホソカワとその仲間たち ソウタ母子 座席(進行方向↑)最後尾 AC DEFG HK 🌱ストーリー しばらくして 乗降口近くのA席前方の座席で 子どもがぐずり出した。 そこには、4〜5歳くらいの男の子と 赤ちゃん連れのお母さんがいた。 ぐずっていたのはお兄ちゃんの方だった。 ゆいは様子を見るかのようにチラッと顔を出すと すぐ引っ込んだ。 「あれは何か企んでいる顔だね。」 「企んでるね。」 ホソカワたちが言った。 やがて、ゆいはぐずっている子どもの所まで来ると しゃがんで同じ目線になり何か話しているようだった。 「お姉さんとゲームしようか。」 ゆいは離陸する前に 男の子がゲーム機で遊んでいるのを見ていたので 同じゲーム機を持ってきて男の子を誘った。 「お母さま、後ろの空いている席で少しの間だけ  お子さまとゲームをして遊んできても  よろしいでしょうか?」 「えっ⁇ あっ、はい。」 「じゃあ、行こっか。ついてきて。」 ゆいと男の子は機内後方へと向かった。 それと同時に他のスタッフがお母さんのところに来て 赤ちゃんをみていてくれたので お母さんはゆっくり飲み物を飲んだり トイレに行ったりして、少し休憩ができた。 最後尾のA席と隣のC席は空いていた。 「どうぞ」 ゆいはA席に男の子を案内した。 「えっ、ここ座ってもいいの?」 男の子はゆいを見上げた。 「大丈夫よ。ここのチケットお姉さんが持ってるから。」 ゆいは制服のポケットから紙チケットを2枚出して 男の子に見せた。 「お姉さんが何で持ってるの?」 「お姉さん今日休みだったからこの飛行機で  東京に行く予定だったけど。  急に仕事になったから。だから。」 「ふ〜ん。」 「大人になったらそういうこともあるのよ。」 「何で2枚も買ったの?」 「ここで寝るからよ。」 「えー。」 男の子は驚いた。 「いちばん後ろだか寝てたって誰も見てないわよ。  さぁ、どうぞ。」 男の子はA席、ゆいはC席に座った。 「何のゲームしてるの?」 「カートのやつだよ。」 「オッケー対戦しよう。」 ゲームは始まった。 「お姉さん彼氏いるの?」 「ふふ、そういう心理戦はお姉さんには  通用しないわよ。あっ、ズルっ。」 程なく男の子は勝利した。 「ふ〜ん、そうくるのか。わかった。  お姉さん次からは容赦しないわよ。」 通路を挟んだ隣席に座っているカズキの仕事仲間は 子ども相手に何ムキになってんだよ、と 思いながら様子を見ていた。 対戦しながら 「ねぇ、名前は何ていうの?」 「ソウタだよ。ママはソーちゃんって呼ぶよ。」 「ふ〜ん。ソウタは赤ちゃん嫌いなの?」 「そうだよ。みんな、いつも赤ちゃんのことばかりさ。  もう、お兄ちゃんなんかイヤだよ!」 「でも、赤ちゃんが生まれる前はソウタが  パパやママの愛情を独り占めしてたんだよ  って言ってもわかんないか。」 「あっ!」 ソウタは思わず声が出た。 今度はゆいが勝利した。 「悔しい?」 ゆいはソウタの顔を覗き込んだ。 「べ、別に悔しくなんかないよ。  お姉さんに勝たせてあげたんだよ。」 ソウタは口を尖らせて言った。 「へぇ〜そうなんだ。やっさしぃ〜!」 笑顔で自分にくっついてきたゆいに ソウタはドキドキした。 そう言いながらゆいはソウタに連勝していた。 通路を挟んで隣席の男は オイオイちょっとは手加減してやれよ、と 思っていた。 気づくと、右隣で仲間が同じゲーム機を出して 「なるほどね〜。こうやるのか。」 などと言っていた。 「でもさ〜ゆいはひとりっ子で兄弟がいないから  ソウタと赤ちゃんのことが羨ましいな。  あっ、そうだ。ソウタのことお兄ちゃんって  呼んでもいいかな?いいよね?  ねっ、おに〜ちゃん。」 ゆいがまたくっついてきたので ソウタはまたドキドキした。 「や、やめろよ。恥ずかしいだろ。」 「もう、何恥ずかしがってんのよ。さっきまで  お兄ちゃんなんか嫌だって言ってたくせに。  今はまんざらでもない顔しちゃってさ。  かわいい〜。」 ゆいはソウタの髪をワシャワシャした。 「ちょっ、やめろよ。わ〜!!!」 ゆいはソウタの脇腹などをくすぐったので ソウタは笑いが止まらなくなった。 ソウタをくすぐりながら ゆいは窓の外をチラッと見た。 そろそろ着陸態勢になる時間だ。 「ソウタったら、こんなに髪の毛乱しちゃって。  もう。」 「ゆいがやったんだろ!」 「人のせいにしないでよ。暴れたのはそっちでしょ  はい、ソウちゃん、イケメン、ご機嫌ちゃん!」 そう言いながらゆいはソウタの髪を直して 腕をパンパンとした。 「そろそろお席に帰りましょうか?」 「え〜、もっと遊びたい!ゆいはいつも  この飛行機に乗ってるの?」 「乗ってないよ。今日はたまたま。  ゆいは乗る飛行機決まってないんだ。」 「え〜何で?」 「だって、ゆいは、色んな所に行ってみたい派  だから。」 「じゃあ、今度いつ会えるの?」 「そうだなぁ。いつ会えるかは約束できないけど  また会った時に、今日みたいに一緒に  遊んだら楽しいでしょ?」 「うん‼︎」 「じゃあ、お席に帰りましょう。さぁ、どうぞ。」 ゆいは通路に立つと ソウタが元いた座席の方を指した。 ソウタは先に歩かず、ゆいの左手を握った。 「え〜お兄ちゃんおてて繋ぐの?  しょうがないな〜。」 ふたりは手を繋いで前方に戻って行った。 〜つづく〜 #朗読 #モノガタリードットコム #ラジオドラマ #みどり #ドラマ
2022年9月9日
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