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こちらはモノカキが自分で書いたものを読んでいる
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火金曜16時に更新しています。
シリーズものですが1話完結ですので、いつでも
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🌱今日の朗読
お題「食べきれずに捨てようとした
タピオカたちが言った一言」で書いた
引くて数多かな この声聞こえますか?
🌱今日はバンド and more ライブの日
(バンド名はモノガタリー作家・筆他言さん命名)
会場は川が海に流れ込む辺りの建物
🌱ストーリー
ー 拡声器📢で何か言っている声 ー
「そろそろじゃね?」
「行こか。」
少年ふたりは腰を上げた。
ズボンのポケットからスマホを出すと
画面をチェックしながらどこかへ行ってしまった。
同じようにたくさんの人が
拡声器の声のする方へ歩いて行く。
今日はバンド and more のライブの日。
人々がいなくなるのを待っていたかのように
辺りが暗くなっていく。
少年たちが腰かけていたのは花壇の縁の石垣。
彼らが置いて行った
タピオカミルクティーのカップが2つ仲良く並んでいる。
星がはっきりと見えかけた頃
ゴミ袋を持った老人が花壇に近づいて来る。
「なんだ、まだ中身が残ってるじゃないか。
めんどくさいな。」
老人がカップに手をかけようとした時
どこからか声が聞こえてきた。
「待って。待ってください。」
老人は辺りを見回すが、誰もいない。
「空耳だったかのぅ。」
老人はカップを手に取った。
「待って!」
老人はカップを顔の前まで持ち上げた。
「まさかとは思うが、おまえさんたちかのぅ?」
ストローがささった透明なカップを覗き込む。
カップの底には
飲み残しのドリンクと手付かずのタピオカがあった。
老人は
元の位置にカップを置くと、その横に腰かけた。
「まぁ、急ぐ仕事じゃないし、聞こうじゃないか。
おまえさんたちの声を。ただし、ひと言だけ
じゃぞ。こう見えて、ワシも忙しいからのぅ。
あちこち掛け持ちしとるもんで。」
しばし静寂が流れた。
「広大な宇宙に散りばめられた星たちから光が
降り注いでいます。私たちひとりひとりに
平等に愛が与えられているのです。
寒くなってきた夜空の澄んだ空気が心地よい
です。」
透明なカップの中から
タピオカたちが空を見上げながら言った。
「なるほど。しかし、寒くなれば
おまえさんたちは売れなくなるであろう?」
「今日、陽がある間は暑いくらいだったので
こうして私たちもここにいるのです。」
「なるほど。日の目を見たということか。
しかし、今の姿はどうだ?
これがおまえさんたちの望んだ姿かのぅ?」
「今、こうして宇宙からの音楽が届いて癒されて
いるように、海も私たちを癒してくれています。
海に流れ込んだ様々なものを人知れず浄化して
くれているのです。人間が食べ過ぎて腹痛を
起すように、時々海も飲み込んだものを
吐き出してしまったりするのです。私たちも
人の役に立ちたいと思っていますが
食べ過ぎは禁物です。できれば、望まれて
食されたいものですが。」
「うむ。」
「私たちは今日ここで長い時間こうして
外を見ていました。すぐ飲み込まれては
闇しか見えなかったかもしれません。」
「なかなか面白いこと言うのぅ。」
「こうして長い時間ここに居ますと
魂の声が聞こえてきたのかもしれません。」
「そうか。そうか。まるで詩人のようであったぞ。」
老人は白くて長い顎髭を触りながらそう言った。
「死人ですか。」
「では、そろそろ行こう。
ワシも体が冷えてきた。これから行く先では
おまえさんたちは引くて数多かもしれんぞ。」
「あ〜やっぱ来て良かったわ。」
「うん。感動したな。」
たくさんの人と共に
花壇に腰かけていた少年たちも
ライブ会場から出てきた。
「あれ?ゴミ無くなってる?神隠し?」
「あ〜、あのゴミ袋引きずってる爺さんが
拾ったんじゃね?」
「えっ?どこ?」
ふたりの視線の先
前を歩く人々の隙間から見える先に
白い作務衣を着た老人が歩いていたが
やがてその先の暗闇に消えた。
(2022年11月21日投稿)
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