神社の詩 「水祥殿(すいしょうでん)」
あかりとりの窓から
月がこぼれ落ちてきたので
水がとろとろ震えます
八ヶ岳の水脈(みお)から
大理石の肌へとまねいた 水の豊潤
満月の夜のおしまい
月も禊(みそぎ)をしたくなって
窓から飛び降りてきたのでしょう
白い絹をきつく合わせた
わたくしの目が
正面の鏡へ光ります
鏡の中のわたしは
祖(おや)の顔
姿かがやき
鏡の世界に溶けあうとき
自由自在の道がきわまる
黒い石の縁からすべりこんで
水のなか
すっぽりと 身ひとつ つつまれて
遠い日
黄泉国(よもつくに)の穢れを流したイザナミノミコトの魂へ
ほどけていく
ゆっくりと
月
わたくし
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