此の世の花
いつも 言いわけをしながら
くるしみにむきあうことを こばんできた 古い
わたしは死んで
いま ようやくひらきはじめた
此の世の花
生まれ変わり
生き直し
千年も前から
地上に咲かせるはずだった
約束の花
うすむらさきのひとみを濡らし
葉をうららかにさし出して
此の世の
いのちのやわらかさをいとおしむ
咲く
咲き誇る
咲き零(こぼ)れる
打ちのめされた自尊心も
じぶんを愛せなかった日々も
すべて あつい涙とともに
根っこから空へ吸い上げた
ー虹となって
水晶(たま)となって
ふりそそぎ
ふりそそぎー
花芯から声がわき出でる
あ、な、た と呼ぶ
光を向いて
あでやかにひらき
散って行く
此の世の花
⭐️朗読フリーです。
⭐️音楽…「甘茶の音楽工房」から「聖夜」