サムネ🪽ピーテル・パウル・ルーベンス作「キリスト昇架」(左)と「キリスト降架」(右)
⛪️朗読は途中までです。続きは以下です。ごめんなさい🙏これは読めなかった(読みたくなかった)💦
✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨
日が高くなると、年老いた、険けわしい顔つきの男が、女のように泣きながらやってきました。
「おれは、この子にひどくつらくあたってきた」
彼はつぶやきました。
「やっと今、償つぐないをするはずだったのに。そうだ、財産の半分をやって、将来は、おれの息子になっていたはずだったのに」
さらに日が高くなると、世界的に有名なある画家もやってきました。その画家は、物惜しみをしない、度量どりょうの大きな人物でした。
「私は、きのう当然優勝すべきだったはずの少年を探しているところだ。その子は、まれに見る将来有望な天才なのだ」と、みんなに言いました。
「たそがれどきに倒れた木に腰かけている、年をとった木こり。その子の絵は、ただそれを描いただけのものだった。けれども、その絵には将来の偉大さが隠されていた。何とかその子を見つけ出して、連れて帰って芸術を仕込んでやりたいのだ」
それから金髪の巻き毛の女の子が、父親の腕にしがみつきながらはげしくすすり泣き、「ネロ、きてちょうだい!」と叫びました。
「もう準備は出来ているのよ。おさな子イエスの格好をした子どもが手にクリスマスのプレゼントをいっぱい抱えているし、笛吹きのおじいさんが私たちのために笛を吹いてくれることになっているのよ。お母さんだってクリスマスの週の間中、いいえ、王様のお祭りの間までだって、私たちと一緒に暖炉のそばでクルミを焼きましょう、って言っているのよ。パトラッシュもとっても喜ぶわよ! ああ、ネロ。起きて、来てちょうだい!」
しかし、若く青白い顔は、光輝くルーベンスの名画に向けられ、口もとに笑みを浮かべながら、彼ら皆に答えました。
「もう手遅れです」
甘く朗々とした鐘の音が、凍てつくような寒さの中で鳴り響きました。そして、太陽は雪の野原の上で輝いていました。にぎやかに楽しげに人々が通りに集まってきました。でも、もうネロとパトラッシュが人々に施しを求めることはありませんでした。
彼らが必要としたものすべてを、アントワープの町は求められないままに与えました。彼らにとって死は、なまじ生き長らえるよりも慈悲深かったのでした。死は、パトラッシュから忠実な愛を、ネロから純粋無垢な信頼の心を奪い去りました。この世で愛は報いられず、信じる心は実を結びませんでした。
生涯ずっと、彼らは一緒でした。そして、死んでも別れませんでした。というのは、少年の腕が犬をしっかりと抱きしめていて、手荒に扱わなければ引き離すことができないことが分かった時、小さな村の人々は後悔し、恥じ入って、神様の格別のお慈悲を願い、彼らのために一つのお墓を作ったのです。一緒に安らかに眠ることができるように。いつまでも!
✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨
「アヴェマリア」カッチーニ
パイプオルガン演奏Akitakomachi
https://youtu.be/yo3TyiXxZ7w?si=1kf93DJFbGSBxmAa
一
https://stand.fm/episodes/655c9710a9f6e2643b27f848
二
https://stand.fm/episodes/655cc75e831053bdcb85d9ce
三
https://stand.fm/episodes/655cd1f3a9f6e2643b27fc38
四
https://stand.fm/episodes/655cd962e29ea615c937b6b5
五
https://stand.fm/episodes/655ce153ce67d59975b72b64
六
https://stand.fm/episodes/655ce9c1ce67d59975b72b9a
七
https://stand.fm/episodes/655cf189a9f6e2643b27fd3f
八
https://stand.fm/episodes/655cf8b3a9f6e2643b27fd50
九
https://stand.fm/episodes/655cff53ce67d59975b72bf1
十
https://stand.fm/episodes/655d0696a9f6e2643b27fd8a
十一
https://stand.fm/episodes/655d0d6ace67d59975b72c34
十二
https://stand.fm/episodes/655d147fce67d59975b72c6c