先日、遠くの総合病院から紹介されてウチの病院(総合病院)に転院してきた患者さんがいました。紹介元の病院も大きな病院だったんですけど、たまたまその病院では出来ない治療目的でした。ところがその人は精神科絡み。精神科絡みは厄介というのが医療界の共通認識で、それを理由に結構断られます。なのであちこち断られた挙げ句に遠くにあるウチの病院に辿り着きました。
ウチはまあまあ懐が深くて、だいたいなんでも受け入れます。
で、やっぱり家族が「何かあったら病院の責任ですからね!責任取ってもらいますからね!」みたいな(病院からすると)理不尽な訴えをしてき内科が困ってました。これが正に精神科絡みが断られる原因です。患者さんが暴れるのが心配とかだけではありません。
いやいや最初からそれは分かってたことじゃないか、約束が違うじゃないか、みたいに病院としては思うのですが、患者さん側の認識はそうではなかったりします。
要は発達障害なんです。精神科の患者さんは病名が何であれ多くは発達障害の特性(特に自閉症特性)を持っています。そして発達障害は遺伝です。夫婦も似た者同士の率が尋常でなく高いです。ということは患者さん本人もその家族も、世間と、病院と上手く常識が共有されてないことが多いということです。
「そんなの言わなくなさたって分かるでしょ…、アタリマエのことじゃん…」みたいに思うようなことが患者さん側には全然通じない、ってことが頻発するわけです。
以前病院の会計で「僕が採血の料金払うんですか?!」と驚いた反応した患者さんがいました。「先生が採血したいって言ったのに?!」と言ったそうです。診察の中で僕が「採血をしたいので中央採血室で採血してから会計して帰ってください。」と言ったからとのことでした。先生が採血したいのに僕がお金を払うの??というわけです。