〈編集後記〉
ファンタジーだからこそ受け取れるものもあるように感じています
容赦ない試練
希望を打ち砕くほどの喪失
現実世界で直面するには苛酷すぎる理不尽・・・
ファンタジーの中に見るリアリティ、ファンタジーによって語られる「真理」は、ecoの大好物と言っても良いかもしれません
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上橋菜穂子さんの作品
『獣の奏者』 https://amzn.asia/d/3rnYCE8
『精霊の守り人』 https://amzn.asia/d/dIxJ4ox
『鹿の王』 https://amzn.asia/d/aaFxgRW
『孤笛のかなた』 https://amzn.asia/d/9Jwtt6d
『香君』 https://amzn.asia/d/2ZPiXk8
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書評をURL限定で公開したとお話しましたが
文字数的にこちらに収まったので
そのまま載せておきます📖
(収録もしてみましたが、滑舌が悪すぎました💦)
■--書評--■
獣の奏者 上橋菜穂子
因果応報という言葉が嫌いだ。
もともとは「行いの善悪が結果として自分に返る」という因果律を表す仏教由来の概念だが、因果とは、数式の左辺と右辺をイコールで結ぶような単純な関係性ではないと考えているからだ。過度な自己責任論に通じがちな昨今の風潮も、この言葉が嫌いな一因だ。
『獣の奏者』は、数奇な運命を背負うひとりの少女が、決して人間に馴れない動物たちとのあり方を探求していく壮大なファンタジーである。喪失、孤独を経て獣ノ医術師を志すうち、やがて国の命運をも左右する存在へと成長していく。
この物語には、ものごとの因果が細部に至るまで丁寧に描かれている。歴史、文化、信仰、医術や生物学、そして政治。幾重にも複雑に絡み合った要素によって、架空の世界が見事に立体化されている。
「自分はこの世に生きるものが、何故、このようにあるのかを知りたいのです。生き物であれ、命なきものであれ、この世にあるものが何故、そのようにあるのか。自分は不思議でなりません。」
これは、主人公エリンの言葉だ。
エリンは、理不尽なまでに運命に翻弄される。容赦ない現実に立ち向かう彼女によって紐解かれていく因果は、多層的で非直線的な様相を見せる。国とは、文化とは、価値観とは、こうして出来ていくものなのだろうか。
誰であろうが「因(cause)」にも「果(effect)」にもなり得る。それは時に、現実
世界では直視できない程の苛酷さを伴う。
ファンタジーでありながら、実に生々しい真理を突き付けてくる作品だ。いや、むしろファンタジーで語られるからこそ、その真理を自戒的に咀嚼できるのかもしれない。
このように、ファンタジーの中に見るリアリティが、私を強烈に惹きつけるのだ。