武甲山(ぶこうざん、ぶこうさん)は、埼玉県秩父市と横瀬町に有る特徴的な山です。
https://maps.app.goo.gl/dUsauGY4A1gFCCAC9
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E7%94%B2%E5%B1%B1
市内の広い範囲から見えるのですが、眺めるのに特にオススメなのは、こちらから。
美の山(みのやま)公園【美の山国民休養地】
https://maps.app.goo.gl/F6Zy3xBY2Ezov1Fa9
https://www.pref.saitama.lg.jp/b0504/minoyamakouen-top/
何が特徴的なのかというと、一目でわかる「削られた山」だからです。
露天掘りというとどんどん穴を掘っていく感覚ですが、こちらは山を切り崩していく感じなんですよね。
掘っているものは、セメントなどに使われる石灰石です。
この山には良質な石灰石が膨大な量埋蔵されていることがわかり、早くも明治時代には日本の近代化の御旗のもとに開発が開始されました。
でももともと武甲山は、秩父神社の神奈備の山(かむなび:神が宿る山)として古くから信仰の対象であったのです。
にもかかわらず、なぜ山を崩してまで開発されたのかと言えば、日本の近代化と戦後復興という国家規模の要請があったから。
要は、当時は地域の信仰や環境保全の考えを上回ってしまったためですね。
聖なる山から資源の山になったわけです。
今の時代だと景観を崩すとか自然破壊などと言われがちですがねぇ。崩したわけですよ。
Wikipediaによると、1900年(明治33年)の測量では標高1,336メートルと記録していたものの、山頂付近も採掘が進められ、1977年(昭和52年)には標高1,295メートルに。
そしてなんと元の山頂付近は1980年9月頃に採掘のために「爆破」され、もう最近の2002年(平成14年)に改めて三角点周辺を調査したところ、三角点より西へ約25m離れた地点で標高1,304mが得られ、国土地理院はこれを武甲山の最高地点と改めたという状況。
関東地方に巨大な優良鉱脈が有り、セメント産業が地域を長年支えてきたわけですか。
現在の事業体は大きく分けて二社。三菱マテリアルと太平洋セメントです。
三菱マテリアルは現地でセメント材料採掘し現地製造。
太平洋セメントはなんと23.4kmものベルトコンベアで、日高市まで石灰石を運び製造しているそうです。
https://www.buko-mining.co.jp/yusou.html
たしかにこの間をトラックで輸送するなどした日には、ものすごいコストと環境負荷がかかることになるので、先見の明といったところでしょうか。
この壮大な規模のベルトコンベアはほとんど地下部分を通っているので、我々にほとんど知られてないところです。
群馬県神流町にある叶山(かのうさん)もこの鉱脈の延長上に有り、もう100年以上掘っちゃった武甲山の次に位置する、むしろポテンシャルの大きい山なんだそうですね。すでに掘り進められているとのことで、こちらも全長23kmのベルコンで別の工場に送られてるそうです。スゲー。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shigentosozai1953/103/1193/103_1193_417/_pdf/-char/ja
この手の重厚長大系産業は、なかなか現代では環境面でも採算面でも展開が難しい産業とは思います。
でも長年にわたり日本の国力を支え、私達の生活を支えてきたことは確かでしょう。
鉄筋コンクリート造の建物のお世話に全くなってない人はほとんどいないでしょうから。
武甲山は山歩きにもポピュラーだそうで。
https://yamap.com/mountains/96
日帰りハイキングコースが整備されています。
装備の上、訪問してみてはいかがでしょうか。
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