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#17 東京の家事育児時間、10年の変化と2023年の謎

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## 東京都の家事・育児時間の推移と背景 2015:男2h30m、女9h00m、男女差6h30m 2017:男2h40m、女8h50m、男女差6h10m 2019:男3h00m、女8h40m、男女差5h40m 2021:男3h20m、女8h30m、男女差5h10m 2023:男3h57m、女9h23m、男女差5h26m 2025:男3h29m、女7h48m、男女差4h19m 東京都で実施される「男性の家事・育児実態調査」では、2015年から2025年にかけて男性の家事・育児時間は約2時間30分から3時間29分に増え、一方女性は約9時間から7時間48分に減少。結果として男女の家事育児時間差は約6時間30分から4時間19分へと約34%縮小しました。この大きな変化の主因は、特に女性の家事・育児時間が約95分減少したことにあります。男性の時間はほぼ横ばいか微減程度でした。 ### 2023年の一時的なピーク 2023年調査では、女性の家事育児時間が9時間23分と高止まりしました。一因は、新型コロナウイルスの影響による在宅育児増加と、働き方の回復が重なったことです。つまり「二重苦」の状態でした。また、外部の家事支援サービスの利用がまだ十分に進んでいなかったこと、調査サンプルで乳幼児を持つ親の割合が高かったことも影響しています。 ### 認識ギャップの存在 男女間では家事育児の満足度に明確なギャップがありました。男性は約8割が分担に満足する一方、女性の満足度は6割程度にとどまっています。これは家事の中でも「名もなき家事」と言われる細かな作業の負担感に大きな違いがあるためです。多くの家庭で「自分の負担は少ないと感じ、相手は多いと感じる」という認識のズレが継続していると指摘されています。 ### 生活様式の変化 この10年間で、共働き世帯が増えたこと、特にフルタイムで就業する女性が増加したことが生活様式に大きな変化をもたらしました。テレワークの普及により家庭で過ごす時間が増えたほか、家電や冷凍食品、ネットスーパーといった家事の省力化を支えるデジタル技術が進展しました。これらの要素が女性の家事・育児時間に構造的な縮小圧力をかけています。しかし、幼児期の子育てと就業の両立は依然として妻の負担が集中しやすい局面であることも指摘されています。 ### 家事代行サービス等の外部化 家事代行やベビーシッターなどの家事育児支援サービスの利用率は2015年の一桁台から2025年には都市部で2割を超えるまでに増加しました。この伸びはコロナ明けの需要増に支えられ、自治体の補助金拡充や企業の福利厚生への導入が相乗効果を生み、女性の家事・育児時間を1~1.5時間程度削減する要因となりました。 ### 男性育休の浸透 男性の育児休業(育休)取得は増加傾向にあり、特に0歳児の父親の取得率は顕著に高まっています。しかし、こうした政策効果が家事育児時間の削減に持続的な効果をもたらすかは、育休後も男性が継続的に家事育児に関与するかに依存しています。単なる取得率だけでなく、家庭内の役割分担の継続的な変化をモニタリングする必要があると指摘されています。 ### 政策と補助の効果 東京都のベビーシッター・家事支援補助制度や経済産業省が推進する家事支援サービスの福利厚生実証事業は、家事代行サービスの利用率とユーザー満足度を大幅に押し上げました。こうした補助制度の成果が2025年に女性の家事育児時間の顕著な短縮に繋がっており、低所得層や地方での利用拡大、サービスの品質・安全性担保といった新たな課題も顕在化しています。 ### リスクと課題 家事育児の総量自体が減少傾向にある可能性、そして家庭内での満足度ギャップが依然として存在する点は課題です。時間の減少が必ずしも家庭の幸福感に直結していない側面もあり、男女の意識差や世帯構成、調査時期の違いによるデータの変動も大きいため単純比較には注意が必要とされています。 ### 結論 東京都の10年の変化は男性の家事育児時間の着実な増加と女性の構造的時間減少(外部化・効率化・政策効果)が軸となっています。短期的には2023年のコロナ禍の二重苦を2025年の補助拡充や家事代行利用の定着が解消に導きました。今後は「量から質へ」の転換が重要で、家事育児の質的側面や家族の満足度、自由時間の確保、そして男性の継続的参画の定着が社会全体の課題です。 *** ### 参考文献 - [東京都男性の家事・育児実態調査2025(PR TIMES)](https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000006264.000052467.html) - [東京都調査 リセマム記事 2023-2025推移](https://resemom.jp/article/2025/11/21/84068.html) - [東京都生活文化局調査報告](https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/danjo/wlb_top/0000001374/r7chosa) - [Withnews 家事育児時間の男女差縮小](https://withnews.jp/article/f0251127000qq000000000000000W07n10301qq000028406A)
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