谷を越えた先で、森は静かに声を放ち始める。
歌として聴く者。
祈りとして受け取る者。
嘲笑や試練として感じ取る者。
問いそのものとして胸に響く者。
同じ囁きが、
八人それぞれに異なる意味を与えていた。
けれど──
イヅミにだけは、何も聞こえなかった。
風も、歌も、祈りも届かず、
胸に残るのは、あの稲光の残響だけ。
音ではなく、震えとして走り続ける、
雷に刻まれた固有の律動。
森は語らない。
けれど、裂けた大木と廃れた社は示している。
問いは声にならなくても、痕として残ることを。
聞こえないことは、欠落ではない。
それは、自分の内側にしか応えを持たない
“特別な問い”の始まりなのだ。
🪶 今回のテーマ
「囁きは、人の数だけ意味を変える」
元物語52話:森を渡る囁き
https://note.com/manaverse_world/n/na4d1ad9e564a
声がないからこそ、
震えは強く、自分のものとして残る。
雷はまだ遠い。
けれど前触れは、すでに体内で鳴っている。
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