聞こえないはずの雷が、
イヅミの内側だけで鳴り続けていた。
森を抜け、岩肌の丘陵へ。
南の空を裂く閃光とともに現れたのは、
雷そのものが肉体を得た怪物──雷鳥。
風も祈りも、合体の律動も、
一瞬でかき乱される白い世界。
その中心でイヅミだけは、音を失ったまま立っていた。
聞こえない。
でも、震えはある。
双子へ放たれた“稲光の矢”。
間に合わないはずの防ぎの一手が、
彼女の掌から放たれた「震え」によって雷を弾き返す。
そして転がり落ちた小さな結晶──
電気石(トルマリン)。
孤独は欠落ではなかった。
聞こえないことは、拒絶ではなかった。
イヅミはついに、自分の問いを“掌で掴む”。
雷は敵ではなく、声になる。
震えは苦痛ではなく、律動になる。
七人目の石が灯った夜、
焚き火の向こうで静かに浮かび上がるのは、
まだ石を持たぬ最後の沈黙──剣士カエルの影。
年内ラスト。
“残響”が“答えのかたち”へ変わる回。
🪶 今回のテーマ
「聞こえない問いは、震えとして世界に触れる」
元物語53話:稲光を抱く掌
https://note.com/manaverse_world/n/n636437e4d7ac
怖いままでもいい。
声にならなくてもいい。
掴めた震えは、もうあなたの光になる。
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