大国による軍備拡張(軍拡)競争のヒートアップで、レアアースやレアメタルなどいわゆる「重要鉱物」の軍による囲い込みが行われ、気候変動対策に必要な鉱物資源が回りにくくなる恐れがあるとの指摘が出ている。科学誌『Nature』に載った論文 "Mining for War : Assessing the Pentagon's Mineral Stockpile" によると、アメリカ国防総省兵站局によるコバルトの目標備蓄量は7500トンで、これは現在の米国の電力網の蓄電容量の2倍の蓄電設備を整備できる分量に相当するという。
電力網の蓄電容量が増えれば、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーによる発電の最大の弱点、発電のムラを平準化を進めることができ、発電における再生可能エネルギーの利用割合を格段に高めることができるのだが、アメリカでは大統領が気候変動はフェイクニュースだと宣言していることと相まって、取り組みがストップしそうな気配だ。
同論文は、アンチモニーやインジウム、ニオビウム、ジスプロシウム、ガドリニウム、サマリウム、スカンジウム、テルビウムなどコバルト以外でも気候変動対策に欠かせない鉱物が軍部の囲い込み対象になっていると指摘している。
国連の安保理事会常任理事国が平気で戦争を仕掛ける事態が立て続けに起き、軍拡の流れは止みそうにない。国連は最大の任務である平和維持の失敗により、パリ協定締結などにより自ら主導している地球温暖化防止のための気候変動対策の推進の思うように進まないという事態に直面している。