カレンダー売り場でコートを着て立てば偽の宮沢賢治みたいだ
正岡豊『白い箱』
うつくしく絵本をひらく人がいた十一月がそこまで来てた
うつくしいネスレのコーヒー・メーカーにほつりと残る夢の指紋よ
わき目も振らずひとを愛していた頃はまだ海だった空港に来た
ゴルフゲームの次のホールに吹く風がめくる太宰の新潮文庫
もうすぐだ十時三十八分だあと一分でぼくは気体だ
冬の日の教育勅語の奉拝を拒否した内村鑑三となれ
ひとりはしずかふたりはふるさとのにおいさんにんはさざんかのくらやみ
「セシル・マクビー」そのロゴ入りのTシャツを脱がせて山椒魚をくるんだ
プレステのうえにあなたが今脱いだ下着がかかる 遠い粉雪
⚫︎殿堂入り
留守電にあった 潜ったときにするこぽっこぽこぽこぽっという音
山頂まであと160メートルと標識は謎の人のように告げる
ユニクロに誰にもさわれない月の模様のシャツがあってもいいね
猫のくせに! メールに絵文字まで入れて! 猫のくせに! 猫のくせに!
⚪︎
「む」のつく言葉にすぐに「昔」と出してくるお前はアイワのラジカセなのか!