【波乱の海外旅行④ イギリスに来たからにアレを食べなくては】
イギリス料理と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか?
イギリスの方には大変申し訳ないのだが、私は正直何も思い浮かばない。だから食事は、あまり期待していなかった。
着いたその日は、夫が「イギリスに来たら、フィッシュ&チップスを食べなくては」と主張するものだから、ホテル近くのパブに食べに行った。
夜7時を過ぎていたにも関わらず、外はまだ明るい。6月末のイギリスは、日が暮れるのは夜9時を過ぎるらしい。
パブの外のテーブルでは、立ち席にも関わらず、数人がビール片手に楽しそうに会話していた。日中より涼しくなってきたとはいえ、まだ空気は生温かい。私たち家族3人は、エアコンの涼しさが恋しくて迷わず店内に足が向かう。
ドアを開けると、期待したほどひんやりしていなかった。外よりは涼しいかな、と思えるぐらい。
席を確保して、迷わず「フィッシュ&チップス」を注文。その日は食欲がわかず、3人で1皿を頼むことにした。
運ばれてきた料理を見て、その大きさにど肝を抜かれた。白い楕円形の大皿に、どかーんと「茶色い魚のフライ」と「ポテトフライが乗っている。
「大きすぎ!」
声には出さなかったけれど、心の中で叫ばずにはいられなかった。
3人で、目配せする。
1皿にして良かったと、ホッとしたのは言うまでもない。
果たしてお味は?
衣はサクサクだった。
淡白な白身魚の旨みが、じわりと口内に広がる。薄味だったので、もう少し塩こしょうをかけたくなったけれど、まずまずの美味しさだった。
これは、ビールが進むに違いない。
私と娘はジュースを頼んだが、ビールを飲んだ夫は、見るからに幸せそうだった。
そして店内は、恐ろしく賑やか。特に後ろの席の男性たちは、会話が弾んでいた。MCの私が羨ましくなるくらい、よく通る声が響いている。
英語ができない私には、話の内容はちんぷんかんぷん。音にしか聞こえなかった。もし聞き取れたら、彼らの会話の内容が全てわかってしまい気まずかったことだろう。それくらい、彼らは周りを気にせず陽気に喋っていた。
私たちが料理を食べ終わる頃、店内には人が増えてきていた。そして、なぜか視線を感じる。
日本人が珍しいのだろうか?
一瞬思ったけれど、そんなことはあるはずがない。実際、彼らが見ていたのは、私たちではなかった。
彼らの視線は、私たちのテーブルの向こうの大きなテレビに注がれていた。ちょうどワールカップの真っ最中。テレビでは、サッカーの試合が行われていた。
店内には、ブラジルのユニホームを着た男性が1人いたから、ブラジルの試合だったのかもしれない。
誰も私たちを見てはいなかっただろうが、なんとなく気まずくて、早々に店を後にした。
それにしても、フィッシュ&チップスは、予想を裏切って、なかなかに美味しかった。
イギリス料理は、意外といけるかも。
私の中で、少しずつ期待が高まっていた。
明日は、ロンドンでも1、2を争う「ローストビーフ」が美味しいと言われる店に行くことになっている。
とろける肉汁を想像して、わたしはニヤリと微笑んだのだった。
つづく!
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