「まずはそっちから金額を出してもらって、それを見てこちらで決めますので」——日本で仕事をしていると、価格の話になった途端にゴニョゴニョが始まります。
ヨーロッパで長く仕事をしてきて、いつも違うなと思うのがここでした。向こうは「うちの予算はこれくらい、どこまでできる?」「こっちはこれくらいで考えている、この金額ならこうやれる」と、先に数字をぶつけ合うところから交渉が始まる。国境を接して、違う言葉と違う価値観の人が隣に住んでいる場所では、そもそも「考えが違って当たり前」が前提になっているからだと思います。日本は、考えが違うとわかった時点でシャッターが降りてしまう。
その面倒くささが、AIエージェントの時代にどうなるかという話です。相見積もりを取るのも、来た見積もりを原価計算に乗せて受けるか受けないか判断するのも、エージェントの仕事になっていく。しかもAIは学習するので、「どう出せばこの金額で着地するか」まで覚えていくはずです。最後は、エージェント対エージェントが単刀直入に条件を突き合わせる——顔の上半分しか映っていないオンライン画面で、相手の顔色をうかがいながら重たい価格交渉をする、あれがAIの進歩でなくなるといいな、と思っています。
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