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ショートSTORY 【慌てていても冷静でも】

【慌てていても冷静でも】     無い 無い 無い  恭子は 慌てていた  自宅の家の鍵が無いのだ  いつもバッグの中の小さなポーチに鍵をいれるのだが  そのポーチには入って無かった          (落とした?)  自分の中で最悪のパターンを想像する  (あ〜もしかして拓也が間違えて持って行った?)    パートナーの拓也を一旦疑った  それだけで腹が立つ  (何で間違えるのよ〜)  こんなに急いでいるのに  鍵が無かったら出かけられない  (拓也に電話しようかな)  そう思ったけど  万が一 自分のミスなら  かなりヤバい事になる    以前の私なら 疑った瞬間に  スマホを持っていた    だけど最近 こんな状況でも  冷静な自分が居る  それが 心地良い  最悪の事態なのに クールな自分が  やけに大人の女らしくて   まんざらでも無いと  言いながら    バッグの中身を全部 床に広げてみた  無い どこにあるの?  (あの鍵は合鍵だから また作れるから…)  困っている人に声をかけるように  自分に言い聞かせた    昨日 職場のロッカーで  あのポーチをひろげた  (きっとあの時だ)    職場に電話して  見て来てもらおうか… でも 待てよ (もし自宅から出て来たら  かなり謝罪しないといけない) それも面倒    (出て来て下さい)   最後は神頼みだ       恭子はお湯を沸かし始めた  (コーヒー飲みたい)  今は少し休憩して 五分後から  鍵を探しても 大差は無い      こんな時に飲むコーヒーは  やけに美味しい    (別に鍵を一つなくしたくらいで  どーにかなる)  これは拓也の口癖だ  「どーにかなる」  彼と暮らし始めてから恭子は  少し変わった    コーヒーを飲み終えて ため息をつくと  昨日 自宅に帰った時がブラッシュバックされた  玄関の鍵は出して無い  帰宅したら玄関に灯りがついて    (拓也の方が今夜は早かったんだ)  で 私は… 手に持っていた鍵を… (もしかして履いていたデニムのポケットに入れた?)  これは記憶が蘇ったのでは無く  無意識に そう思ったのだ  慌てて昨日履いた  デニムのポケットを探した    「あったー」  どーにかなった  拓也の言うとおりだ    彼は今頃職場のデスクで  くしゃみしてるかな?  なんて  鼻歌混じりに思うのだ    近頃やけに思うのだ  慌てていても何の得にもならない    これは拓也と暮らし始めてから  思う事だった    慌てていても冷静でも  自分を取り巻く状況は 変わらない  だとしたら  パニックにならずに冷静でいる時間が  長いにこした事は無い      拓也の右の眉が上がった顔が  目に浮かぶ    これは彼が満足した時に  見える表情なのだ  私も鏡の前で右の眉を上げてみた。   #LIFENOTE #短編小説 #ショートストーリー #大人の物語 #日常のひとコマ #人生の気づき #心の変化 #夫婦のかたち #パートナーとの暮らし #どーにかなる #慌てない #大人の女性 #暮らしの中の物語 #言葉の贈り物 #物語のある暮らし  #朗読
3日前
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