#雑談
#ショートSTORY
#【忙しいと言いたい人】
【忙しいと言いたい人】
葵の朝はスムージーから始まる
Yahooニュースを読みながら
朝のストレッチは欠かさない
シャワーを浴びたら硬水を常温で飲み
その水でサプリメントも飲むのが日課だ
仕事のメールをチェックしたら
今日のスケジュールを確認する
「あ〜ヤバイ ダブルブッキングしてる」
今年トレンドのワイン色のトップスを
クローゼットから選びながら
呟いた
(仕事の後 短大時代からの友人
莉子のバースデーに行く予定になっていたんだった)
同じ時間にエステの予約を入れていた
THE AROMA SPA AOYAMA
の全身アロマオイルトリートメント
の予約をしていたのだ、
キャンセルしなきゃと玄関でヒールを履きながら 今日のやる事リストにメモをした
駅へ向かう道では
最近 お気に入りのボットキャストのチャンネルをAirPodsで聴く
聴きながら 莉子のバースデープレゼントをスマホから選んでいた
「あ〜莉子って何が欲しいんだろう」
短大を卒業してから半年に一度
酷い時は年一でしか会ってない
莉子の好みは つかみにくい
とりあえず花束にしとこ
無難だし莉子が行きたいと言ったお店の場所を検索したら近くにお花屋さんがあった
(行く前に花束を買うとして〜)
なんて考えていたら職場に到着した
お昼休み 葵は莉子が行きたいと言ったお店に電話を入れた
「今日6時にお店に伺いたいのですが
その際に友人のお誕生日なんで
バースデーのスイーツの用意をして頂けますか?」
お店の方が言った
「申し訳ないそのようなサービスはしておりません」
「分かりました」と言って電話を切った
葵は (変な店 今どきバースデープレートくらいどこだってやってくれるのに)
なんて思いながら
とりあえず仕事を追えてお店に向かった
Google Mapで辿り着いたお店は
こじんまりとしていて
特別感は無い
先に来ていた莉子が ソファー席で本を読んでいた
「遅くなってゴメ〜ン 仕事が忙しくてさ〜
はい お誕生日おめでとう」
そう言って真紅のバラが10本も入っている
花束を莉子に渡した
「ありがとう でもこんなに沢山のバラ
もらった事無いかも」と言って
少し困った顔をした
葵はお店の中を見まわして
「ねぇここが良かったの?
お誕生日なのに ここ?」
莉子は「このお店たまに来るんだけど
落ち着くんだよね」と言った
昔から派手では無かったけど
相変わらずだな と思いながら
「とりあえずケーキ食べない?
バースデープレートは無いみたいだけど」と言うと
「そーだね ショートケーキにしようかな?」と莉子は言った
運ばれて来た小食のケーキを見て
葵は思わず声に出した
「あのさ このケーキでいいの?
お店変えてバースデープレートあるとこに行かない?だってさ 花火も無いなんて寂しいよね」
莉子は笑いながら言った
「何でケーキに花火なの?」
「だっておめでとうな感じするじゃない?
あのパチパチした花火 映えるし」
「あ〜私はSNSもやって無いし
映えるとか必要無いんだよなぁ〜」
葵は宇宙人でも見るように
「いやいや お誕生日にはマストでしょ」と
当然のような顔で言った
「そーかなぁ〜」莉子はショートケーキのイチゴをよけてケーキを食べていた
「最後にイチゴ食べたいんだぁ〜」
と めちゃくちゃ幸せそうな顔をしていた
(まぁ本人がいいならそれでいいけど… 私ならこんな店でお誕生日のお祝いなんか絶対に無理)心の中で呟いていた
「所でさ〜最近 何か習い事とかやってる?」葵は 探るような目で尋ねた
「何もやって無いよ〜」
生クリームを口の横につけたまま
莉子が答えた
「私 来月から木曜日の夜ピラティス
金曜日の夜ヨガ教室に行くんだけど
その日ってさ私が入っている
コミュニティのzoomがあるのよ
もうめちゃくちゃ忙しいの
莉子は家で何してるの?」
一気に葵が話した
「何って本を読んだり猫と遊んだり
ベランダのプランターに水をあけたり
かな?」
「それだけ?」葵は不思議そうな顔をしていた
「いや いや いや いや
何かやりなよ」少しトゲのある声で
葵が切り出した
「普通にそれ勿体無いから
人生無駄にしてるよ
てかさ 取り残されてる感 しないの?逆に…
私 莉子が心配だから言ってあげてるのね」
少し早口でまくしたてた
莉子は落ち着いた声で言った
「今の生活に満足してるんだぁ〜
ゆっくりと時間が流れる中で
ボーっと空を見ていたり
月が綺麗だなぁ〜とか
金木犀の香りがするなぁ〜とか
あ〜お隣のお宅今夜は秋刀魚焼いてるんだなぁ〜とか…
それだけで心が豊かになるんだよなぁ〜
好きな音楽を聴きながら
コーヒーを入れたりして
あ〜幸せだなぁ〜って感じるんだよ」
葵はイライラする声で言った
「ぶっちゃけ今日も私は忙しかったのね
この時間エステの予約も入っていたけど
そこキャンセルして来てるわけ
エステ90分 ¥36000を次回にして…
金木犀だの秋刀魚だのの話ししたくて来てる訳じゃ無いし
莉子みたいな暇人じゃ無いんですけど…」
莉子が少し笑いながら言った
「葵は忙しくしている自分が好きなのかなぁ〜って思ってたよ」
「ゴメン私やっぱりエステ行くわ
ここで話している時間もったいない気がするし」
突然 葵が怒った声で言った
「うん 分かった私はもう少しここで本を読んでから帰るね」
そう言って莉子は落ち着いた表情で
本を開いた
ここからは次回になります😂💦
#朗読