文筆家・心理カウンセラーである大嵜直人さんとハチドリのコラボ企画。
10回シリーズでお送りする“〇〇なあなたに捧げる朗読会”第9話。
大嵜直人のブログ
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手放したいのに、手放せないあなたへ
文 大嵜直人
朗読 ふせけいこ
手放したくないとき、手放せないとき。
苦しいよね。
つらいよね。
しんどいよね。
そんなとき、あなたの手は、
かたく、かたーく、
ムギュギュギュギユー・・・っと、
握り締めたまま。
その、握りしめているもの、何かな。
パートナー、かな。
夢、かな。
お仕事、かな。
どれも、たいせつだもんね。
だからこそ、なかなか、手放せないよね。
それで、いいと思うんだ。
手放そうとして、
その腕をぶんぶん振り回したり、
その指を一本ずつ開こうとしたり、
無理に引きはがそうとしたり、
そんなことしたら、痛いもんね。
そんなときは。
ムギュギュギュギユーっていう感覚を、
感じるだけでいいよ。
ぎゅーっと握りしめた、あなたの手。
その手の感触を、感じるだけ。
爪の跡がつくくらい、
固く握りしめた、その感触。
そんなに固く握りしめるくらい、
たいせつだったんだよね。
そこまでたいせつに想えるものに、
出会うことができて、
よかったね。
握りしめた、あなたのその手。
その手は、とても温かな手。
その温かさを、感じてみて。
その温かさを、
あなたはたいせつなものに、
ずーっと贈ってきたんだね。
その、温かさを。
その、想いを。
その、愛を。
手放したくないとき、手放せないとき。
それは、
あなたの与えてきた愛の、
偉大さを知るとき。
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