今日の放送では、腎臓病の診断とモニタリングに欠かせない3つの重要な血液検査についてお話しします。
血液検査は多くの項目があり、その意味やどういった状態が望ましいのかを理解するのは難しいですよね。
そこで、慢性腎臓病において特に重要な3つの検査項目、血清クリアチニン、血清尿素窒素(BUN)、推定糸球体濾過率(eGFR)にフォーカスを当て、それぞれの検査がどのような意味を持ち、なぜ重要なのかをわかりやすく解説します。
まず、血清クリアチニンは筋肉の正常な代謝産物で、腎臓がこれを血液から濾過し、尿として排出します。腎機能の低下によりこのクリアチニンが血液中に蓄積すると、検査値が上昇します。男性と女性では筋肉量の違いから基準値が異なり、さらに個々の筋肉量によっても差が生じます。これは、同じ運動量でも筋肉量が多い人ほどクリアチニンをより多く生成するためです。
次に、血清尿素窒素(BUN)は、肝臓でタンパク質が分解される過程で生成される尿素の量を測定する検査です。この値が高いと腎臓の濾過機能が低下していることを示します。しかし、タンパク質の摂取量が多いと尿素の生成量も増えるため、食事の内容によっても検査値が左右されます。
最後に、推定糸球体濾過率(eGFR)は腎臓の濾過機能を示す指標で、腎臓が1分間にどれだけの血液を濾過できるかを表します。この値は腎臓の機能を評価する上で非常に重要で、慢性腎臓病の診断やステージ分類に用いられます。しかし、全ての医療機関や検診でeGFRが算出されるわけではないため、血清クリアチニンの値から自分で計算することも可能です。
これら3つの検査は、腎臓の機能を総合的に評価するのに役立ちますが、それぞれが筋肉量や食事内容などの外的要因に影響を受けるため、検査結果の解釈には注意が必要です。腎臓の健康状態を正確に把握するためには、これらの検査結果を医師が総合的に評価し、個々の状況に応じた適切な診断と対策を立てることが重要です。