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翔べ!ほっとエイジ〜在宅医の佐々木淳さんに、在宅医療を体験して感じた疑問を聞く

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 今回のゲストは、在宅医療専門クリニックを運営する医療法人社団悠翔会の理事長、佐々木淳さん。  佐々木さんは2015年に医療・介護多職種連携のための学びのプラットフォーム「在宅医療カレッジ」をスタート。認知症ケア、高齢者ケア、地域共生社会の学びなど幅広い分野でセミナーを実施している。その内容をまとめた「在宅医療カレッジ・地域共生社会を支える多職種の学び21講」(医学書院)は、超高齢社会における医療・介護の実践的知識を学ぶための必読書になっている。  今回のインタビューは、訪問医や訪問看護師らの協力で在宅で義理の母親を看取ったキャスターの相川が、実際に在宅医療に接して感じた思い、疑問などを、この分野の第一人者である佐々木さんにぶつける形で進めた。 ーー痰の吸引や胃ろうからの栄養補給など、訪問看護師に頼ればいいと甘く考えていた。実際は退院直後の医療保険で訪問看護師に来てもらえる時でも1日2回が限度。夜中には妻と交代で寝ずの番をして、私たちで痰の吸引を行った。自宅に戻ったのでひ孫にも会えるなど、豊かな時間は過ごせたが、家族も相当ケアに絡まなければならず大変だった。 佐々木 在宅医療は大変な側面もあるが、栄養や水分摂取など工夫次第で楽にする方法もある。 ーー在宅医療をどのタイミングで始めるべきだったのか。リハビリ病院を経由したが、リハビリはほとんどできない状況になってしまっていたので、急性期病院から直接在宅というルートもあったのかと思う。 佐々木 実は急性期から自宅に直接帰るというルートは、今普通に存在する。「この状態で家では面倒をみられないだろう」と思うが、家に帰ると、環境の力で、病院で騒いでたおばあちゃんが普通のおばあちゃんに戻る。 ーー回復の見込みがない段階での延命治療はしないと決めていたが、酸素飽和度が下がり、酸素吸入の必要があった。在宅クリニックの当直医の到着が時間がかかるため救急車を呼び、救急隊に酸素吸入を行ってもらった。在宅医療で救急対応は十分? 佐々木 在宅医療には、5分〜10分で来るという機能は残念ながらないので、日頃からの備えをやっておくというのがすごく重要になる。 ーー医師も働き方改革が必要と言われる中、24時間診てくれとは言わないが、さきほどまで診察に来ていて、出してくれた薬をどうするかみたいな質問さえケータイで答えてくれず、当直医任せだった。家族としては信頼できなかった。 佐々木 やっぱりふだん診てくれる先生が最後まで診るというのが見てくれるのが、患者さんにとっては一番。ですが、1人の先生がずっと24時間対応し続ける、それを何十年も続けるというのはやはり難しい。お医者さんにとっても持続可能で、家族や患者さんにとっても安心な形でなんだろうなって思った。  一つは先生たちも休みが必要。そういう日だけは僕らのようなクリニックのお医者さんがバックアップするような仕組みがあれば、先生も頑張れるときは頑張る。  二つ目の方法としては、我々のような僕たちも大規模在宅クリニックですけが、できるだけ地域に密着しようというふうに考えて、今例えば東京だと、案件に3キロのエリアしか我々カバーしない。 そうだとしても、夜知らない先生が来て、全然話が通じないというのは、やはり困る。どうすればいいのかーー。 ここで必要なのは二つあって、一つはやっぱり主治医の先生が、患者さんご家族と信頼関係を築き、何でも相談できるっていう関係性を作ること。  確かに主治医は夜は対応できないかもしれないけれども、その代わり患者さんたちが夜、不安におののくことがないように、昼間のうちに診療を完結させる。  在宅という、お医者さん、看護師さんが普通はいない環境であっても、安心感を高めるための工夫はできるし、そもそも医者というものは単に病気を治療しに行ってるだけではなくて、患者、家族の安心を支えに行ってる、納得できる生き方を一緒に考えるために患者さんの家に行く。 〈プロフィール〉佐々木淳(ささき・じゅん)1998年筑波大学医学専門学群卒業。社会福祉法人三井記念病院内科/消化器内科、東京大学医学部附属病院消化器内科等を経て、2006年に最初の在宅療養支援診療所を開設。2008年 医療法人社団悠翔会に法人化、理事長就任。2021年より 内閣府・規制改革推進会議・専門委員。現在、首都圏ならびに愛知県(知多半島)、鹿児島県(与論町)、沖縄県(南風原町・石垣島)に全24拠点を展開。約8,000名の在宅患者さんへ24時間対応の在宅総合診療を行っている。 必要なんじゃないかってことで新設するようだ。
2月23日
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