皆さま、如何お過ごしでしょうか!?
今回は「或る女」「視線」に続き短編の様なものを思い付きました✍️
「契約」
気がつくと判を押していた
古ぼけた大きな紙
霞んだ目では何が書いてあるのか
わからなかった
ただ、湿気とカビ臭さが鼻に付く
薄暗い独房
私は悪魔と契約を交わした
独房から解放され自由になった
この世のあらゆる快楽と
名声を手に入れ
私は自由を謳歌した
気がつくと河辺を歩いていた
河岸には何艘かの舟が
出発を待っていた
舟にはこれから乗り込もうと
人々が列をなしている
どの人も下を向いており
表情は見えなかった
いや、表情が無かったと言ったほうが
正確かも知れない
私は列に並び舟に乗り込もうと
順番を待っていた
乗らなければならないという
感情に襲われた気がした
船頭は私を見るなり、無言で首を横に振る
私は舟に乗ることができず
永遠の此岸を彷徨うことになった
私は悪魔と契約をしたのだ
聴いて下さり有難うございました☆
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