2025.08.24ブログ記事「「A v. 日本新薬」 大阪地裁令和4年(ワ)11405 ― 迫るパテントクリフの陰で勃発したウプトラビ®職務発明の相当対価請求事件」より。
Summary
本件は、被告(日本新薬)の元従業員である原告(A)が、在職中に職務上完成させたセレキシパグに関する発明について、平成16年改正前の特許法35条に基づき、特許を受ける権利を被告に承継させたことに対する「相当の対価」として、約5億円の支払いを求めた訴訟である。
セレキシパグは、日本新薬の主力品である肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬「ウプトラビ®」の有効成分であり、日本新薬は数年後に迫っているウプトラビ®のパテントクリフを乗り越えることを最重要経営課題として注力しているところ、その基本特許を巡って起きた事件としても注目される。
大阪地裁は、本件発明に関する相当の対価の算定において、被告が主張する職務発明規程の適用を認めず、平成16年改正前の特許法35条に基づいて算定するのが相当であると判断した。その上で、被告に対し、原告へ約9,400万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。
企業の知財実務において、職務発明規程を有効に適用するためには、従業員からの明示的な同意書の取得が重要であるが、改正前法の適用となる可能性があれば円満な合意に至らず、結局は裁判所で判断してもらわないと折り合いがつかないという場合は想定される。本件は、そのような課題が依然として残されていることが露呈した事件といえる。
詳しくは2025.08.24ブログ記事「「A v. 日本新薬」 大阪地裁令和4年(ワ)11405 ― 迫るパテントクリフの陰で勃発したウプトラビ®職務発明の相当対価請求事件」参照。
https://www.tokkyoteki.com/2025/08/2025-03-28-r4-wa-11405.html
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