00:00
-00:00

平成の大合併が地域人口に与えた影響:旧市町村単位での「中心」と「周辺」の検証

5
これまでこのNoteでは、主に他の研究者の成果を紹介してきましたが、前回から少し方向を変えて、私自身が国際査読誌に発表した研究について、AI(NotebookLM)を活用した音声解説を投稿していきます。英語で書かれた論文は、日本の政策実務者や一般の方にとってアクセスしづらく、専門的な表現や統計分析も理解のハードルになりがちです。そこでAIを活用して、研究の背景や発見、政策への示唆をわかりやすく音声で一般向けに日本語で紹介していこうと考えました。今回解説する論文は佐桑健太郎氏(青山学院大学国際政治経済学部国際政治学科 准教授)との下記の共著です。 Suzuki, K., & Sakuwa, K. (2016). Impact of municipal mergers on local population growth: an assessment of the merger of Japanese municipalities. Asia Pacific Journal of Public Administration, 38(4), 223-238 私たちの2016年発表論文は、「平成の大合併」が日本の地域人口にどう影響したのか、特に合併後の新しい自治体内部での「中心部」と「周辺部」における合併の影響の不均一性に焦点を当てて分析しました。 平成の大合併は1999年頃から2010年頃にかけて行われ、行政の効率化や経済基盤強化などが目的とされていました。しかし、私たちは、合併前の相対的な自治体の規模が、合併後の人口動態に異なる影響を与え、特に周辺部では行政機能の縮小や公共投資の偏りなどにより人口減少を加速させる可能性を懸念していました。つまり、合併は全ての自治体に平等に恩恵をもたらすわけではなく、合併パートナーの間で小規模な自治体は合併により得られる果実が少なく、大規模な自治体は得をするのではないかと考えました。 そこで私たちは2000年から2010年までの人口増減率を、合併後の新しい市全体ではなく、合併前の旧市町村単位で比較しました。その際、「プロペンシティスコアマッチング」という統計手法を用いて、合併しなかった似た条件の市町村と比較することで、純粋な合併効果を抽出しています。分析結果は非常に示唆に富むものでした。 周辺部となった旧市町村は、合併しなかった同様の地域と比べて、人口増加率が統計的に有意に低かった(約1%〜2%ポイントの低下)ことが明らかになりました。 一方で、中心部となった旧市町村には、明確な人口増加促進効果は確認されませんでした。 この結果は、合併の影響が中心部と周辺部で異なり、不均一であったという私たちの仮説を支持しました。 この研究は、平成の大合併が、特に周辺部となった旧市町村の人口減少を加速させる可能性があったこと、そしてスケールメリットの追求が必ずしもすべての地域に均等な恩恵をもたらさず、新たな格差構造を生み出す危険性があることを示唆しています。私たちの研究は2010年までのデータに基づきますが、2010年以降の長期的な影響がどう推移しているのかは、今後の重要な研究課題だと考えています。
2025年9月7日
おすすめの放送
stand.fmの無料アプリでもっと便利に
Google Play Store
App Store
about stand.fm
放送が更新されたらプッシュでお知らせされるので最新の放送を聞き逃さない。
about stand.fm
バックグラウンド再生で他のアプリを使用しながら、放送やライブが聴ける。
about stand.fm
放送やライブ、コミュニティでコメントが送れて配信者とコミュニケーションができる。
about stand.fm
アプリだけでかんたんに音声を収録して投稿できて音声の編集もできる。
jasrac
JASRAC許諾番号
9024598002Y31016
9024598004Y31016
nextone
NexTone許諾番号
000006134
© 2026 stand.fm, Inc.