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石川直樹写真展「飛鳥・藤原から東アジアへの旅」を見て

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奈良のの万葉文化館で見てきました。 石川直樹さんは、高校2年生のとき、 インドとネパールへ一人旅をしたことをきっかけに、 未知のものに出会う旅を続けてきた写真家です。 その後も地球上の辺境から大都市まで、 あらゆる場所を歩きながら、 そこに流れる時間や、人々の営みを静かに写し取ってきました。 2000年には、北極から南極までを 人力で踏破するプロジェクトに参加し、 翌年には七大陸の最高峰すべての登頂を達成。 そして2024年には、標高8000メートル級の山々—— いわゆる「8000m峰」14座の全登頂を成し遂げています。 冒険家であり、旅人であり、 同時に、人類学や民族学にも深い関心を寄せる写真家です。 近年の石川さんは、 国づくりの基礎が築かれた飛鳥と藤原という二つの旧都を、 ゆっくりと、丁寧に撮影してきました。 その風景には、古代から続く時間の層のようなものが 静かに立ち上がっているように感じられます。 藤原京は、東アジアとの政治的・文化的交流の中で 形成された都でもあります。 その交流相手の一つが、新羅で、 当時、日本は新羅と外交交渉を重ね、 使節の往来も頻繁に行われました。 しかし、万葉集に収められている遣新羅使の旅の時代には、 すでに両国の関係が再び悪化しつつありました。 その中で彼らが辿った航路や道筋—— “新羅”へ向かうルートが、 万葉集には驚くほど詳しく記されています。 万葉集巻十五に残るこれらの歌は、 日本の外交史を物語る記録であると同時に、 古代の役人たちが旅の途中で詠んだ歌としては 最大規模の作品群であり、 文学的にも非常に重要な位置を占めています。 彼らの旅は、決して穏やかなものではありませんでした。 新羅にたどり着いても上陸を拒まれ、 長く過酷なことが続き、 ついには大使である阿倍継麻呂(あべのつぐまろ)が 旅の途中で亡くなってしまいます。 生き残った人々も、 ようやくの思いで日本へ帰り着いたと伝えられています。 歌には、 妻と別れる悲しみや、 旅の寂しさ、 故郷を想う気持ちなどが 静かに、しかし深く刻まれています。 命がけの外交使節としての苦難が、 千年以上の時を越えて、 今の私たちにも届いてきます。 今回の写真展では、 その旅のルートと呼応するように、 石川直樹さんが各地で撮影した風景が添えられていました。 写真の静けさと、万葉歌のことばが重なり合うと、 古代の旅の息遣いがふっと立ち上がるようでした。 飛鳥や藤原の風景が、 東アジアの広い世界につながっていく感覚も得られ、 とても心に残る展示でした。 素晴らしい写真展でした。 #石川直樹 #万葉文化館 #飛鳥 #藤原京 #遣新羅使 #万葉集 #新羅 #阿倍継麻呂 #写真展 #歴史散歩 #古代史 #東アジア交流 #奈良の旅 #文化と旅 #スタエフ #note #石川直樹写真展 #飛鳥藤原から東アジアへの旅
6日前
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