スタートアップの世界では、資金が尽きるまでの期間を「ランウェイ(滑走路)」と呼ぶ。
でも岡本が乗っていたのは飛行機ではない。エンジンもない、手作りのイカダだった。
通帳の残高を並べた瞬間、頭の中で警報が鳴る。
「あと数ヶ月で終わるな」と。
VCを回っても返ってくるのは、論理的に正しい「NO」。
ハードウェアはリスクが高い。実績が足りない。
彼らは間違っていない。だが会社は待ってくれない。
そして差し出された一枚の書類。
個人保証。
会社が失敗したら終わり、ではない。
自分の人生ごと終わる可能性がある。
それでもペンを取った瞬間、岡本は一度“心肺停止”した。
だがそこで初めて見えたものがあった。
これは資金調達の成功談ではない。
経営者になるという境界線を越えた記録。
論理が壊れたとき、最後に残るのは何か。