【今日のための朗読LIVE】
開催日は不定期(週2~3回)
大体10分ぐらい
👹と🐤で作った朗読文をお届け中✨
ーーー本日の朗読テーマ:料理ーーー
『その一振りが、すべてを変える』
作:👹🐤
それは、キャンプの朝だった。
まだ少し冷たい空気の中、鉄板の上でジュウジュウと音を立てるベーコンと目玉焼き。
その光景だけでも、十分に「優勝」だったのだが――
隣にいたあいつが、ポケットから取り出したのだ。
黒いキャップ。
シンプルなラベル。
そして、妙に自信ありげな顔。
「これ、かけてみ?」
その一言に、なぜか逆らえなかった。
パッ、パッ、と軽やかに振られるそれ。
まるで、料理の運命を決めるかのような、ためらいのない手つき。
――ラベルを見る
名前は聞いたことがあった。
だが正直、こう思っていたのだ。
「どうせ、ちょっといい塩でしょ?」
……その認識は、甘かった。
一口、食べる。
――え?
もう一口、食べる。
――え???
さっきまでのベーコンが、別物になっている。
いや、ベーコンだけじゃない。
これはもう、“体験”だ。
「な?」
ドヤ顔のあいつに、何も言い返せなかった。
それからというもの。
気がつけば、我が家にも一本あった。
最初は、肉にかけた。
まあ、わかる。美味い。
次に、野菜にかけた。
あれ?これも美味い。
卵焼きに、サラダに、ポテトに。
気がつけば、「とりあえず振る」が習慣になっていた。
そして、ある日。
冷蔵庫を開けて、ふと立ち尽くす。
――今日、何にかけよう。
いや違う。
違う違う。
これはもう、
「何を食べるか」ではなく
「何にかけるか」だ。
最初は半信半疑なのに、
気づけば、手元にないと不安になる。
そして、誰かに勧めたくなる。
「これ、かけてみ?」
気づけば、自分が言っている。
あの時の、あいつと同じ顔で。
その一振りで、
料理の味が変わる。
その一振りで、
ちょっとした日常が、少しだけ楽しくなる。
大げさかもしれない。
でも、きっとこういうものだ。
人生ってやつは――
案外、ひと振りで変わる。
……というわけで。
今日もまた、私は振る。
ちょっとだけ、期待を込めて。
パッ、パッ、と。
ーーーほりにし
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