#ショートSTORY
#【日曜日の朝は】
【日曜日の朝は】
日曜日の朝は いつもよりゆっくり起きる
と言っても7時には目が覚めてしまう
学生の頃はお昼近くまで寝ていて
母が心配して見にくる事も度々あった
もう若くは無い自分を こんな時に感じるのだ
実家を出て一人暮らしを始めてから
アパートの契約更新は2度している
特別このアパートが気に入っている訳でも無いのだが
引っ越す理由も無い
いつものように少し狭い台所に立ち
フライパンでハムエッグを作りながら
トースターでロールパンを焼く
引越して来た翌日から毎朝このメニューは変わらない
お休みの日は身体を休める日だと
自分に言い訳をして
部屋でスマホを触りながらダラダラと過ごす
特に趣味も無いのだから
こーして夜を待つしか無い
近くの公園から5時を知らせてる鐘が聞こえる
私はビーサンを履きお財布を持って
近くのコンビニに行く
そこで毎週買う物も決まっている
タコハイと竹輪
同じ道を通っているのに道端に咲いていた
白粉花がもう花を咲かせて無い事にも
気が付かない
部屋に入る前にポストを開いた
古着買取やエアコンの修理のチラシの中から一枚のハガキを見つけた
高校の時の同級生からの残暑見舞いだ
年賀状も無視していたのに
懲りずに残暑見舞い
当時それほど仲良くしていたわけでも無いのにと懐かしさよりイライラが先に立つ
タコハイを飲みながら
どーせ彼女は自慢したいだけなんだ
数年前に書道の師範になり
自宅で書道教室を開いているとの事
これみよがしにハガキの中の墨が
踊っていた
今どきハガキ?スマホでご挨拶も数人になってると言うのに…
そうよね スマホではあなたのご自慢の字がご披露できませんものね
私は 嫌味を口に出して
買って来た竹輪をわさび醤油に突っ込んで
口に入れた
想像以上にわさびの量が多くて
鼻先がツーンとした
わさびが刺激したのか?涙が出て来た
自分でも驚いた違う これは
わさびが…と思いながら
気がついたら声をあげて泣いていた
誰に言われなくても自分が一番分かっていたのだ怠惰な暮らしをして自分では何も努力はしてないのに他人の努力が鼻につく
口から出るのは愚痴ばかり…
そんな自分が本当は誰よりも嫌いだったの
次の瞬間 このアパートを出て
新しい暮らしをしてみようと思った
ほんの少し意欲が湧いて来て
そんな自分が嬉しかった
来週は不動産屋を見に行く
私だって何かを始めてみたかったのだ
まだやりたい事も無い
だけど自分の心が動いた事が嬉しかった
次の日曜日 早くから目が覚めて
朝食の支度をした
スクランブルエッグにサラダ
ヨーグルトの中にはブルーベリーのジャムを入れて
焼きたてのトーストにバターを塗った
明日は梨でも買ってみようかな?なんて考えながら アパートの鍵を閉めた
#朗読