詩吟 本能寺 頼 山陽
本能寺 溝 幾尺(いくせき)なるぞ
われ 大事をなすは 今夕に在り
こうそう(ちまきのこと) 手に在り
こうを併せ(あわせ)て 食らう
四えん(家のひさしのこと)の 梅雨 天墨の如し
老いの坂(地名) 西に去れば 備中の道
鞭をあげて 東を指せば 天猶(なお)早し
わが敵は 正に 本能寺に在り
敵の備中にあるは 汝(なんじ)よく備えよ
(詩意)大事決行の直前のある句会の席で隣の俳人に
本能寺の溝の深さはどの位かと尋ねたり、戦勝の祝賀に来た里人たちの前で献上の粽(ちまき)を皮ごと食べたり、知性の人光秀も反逆であるだけに心の平静を失っていたようすが、描かれている。