第120回 11/6
【小さな砂粒のような記憶から、全てが見える】
「あかりちゃんは絵が下手だね、弟は得意なのに」
母が何気なく放った一言が
小さな砂粒となって、
わたしの心に落ちた
「あかりちゃんは、絵以外は器用でなんでもこなしてくれて、すごいね」
母が鼓舞するつもりで放った言葉が、
知らず知らずのうちに蔓へと成長していった
わたしは絵が下手なんだから、絵を描いちゃダメだ
わたしはなんでも器用にこなすことが認められる要因なんだから、それをやり続けなくちゃ
気づけば
小さな砂粒は
小さな蔓の芽は
自分の中で栄養を蓄え、大きくなり
まるで世界の常識のようにわたしの中で育っていった
お母さんを悪者にしたくなくて
それらの言葉に傷ついているわたしを
なかったことにした
その時に感じた痛みや悲しみに蓋をして
彼女がなぜその言葉を放ったのか
その背景や意図を想像することにした
きっと、彼女なりのエンパワーだったのだろう、とか
弟を立てるための最善の選択だったのだろう、とか
いろんな想像を巡らせ
胸が重くなるのを感じていた
もしも、
あの時のわたしのとなりに
静かに座ることができたとしたら
どんな言葉をかけるだろう
~もりのおはなし会ラジオ~
森の中にいると、すべての命がありのままに生きていることに気づく。
それでいて、お互いの役割を知り、尊重し、ひとつの生命体として息づいている。
そんな関係性を人と人との間にもという願いから生まれたもりのおはなし会。
もりのおはなし会で大切にしている世界観や、NVC(Nonviolent Communication)を実際に日常でどのように表現することができるのだろう
か。
挑戦者たちのリアルな声をお届けします。