【参考】
山本・澁谷(2009)エビデンスにもとついた発達障害支援応用行動分析学の貢献,行動分析学研究 第23巻 第1号
【ベストコメント賞】
Applied Behavior Analsis
【概要】
ADHDの子どもの支援
1.ADHDの特徴
① 注意の持続の困難 (不注意):指示を最後まで聞くことができない 、活動を順序立てて行うことができない 。
②多動性:座っているべきときに席を離れてしまう、 常に手足をそわそわ動かす、動きを抑えるのがむずかしい 。
③衝動性:相手の応答を待たずにしゃべる、大人が指示を出す前に動いてしまう、順番を待つのが難しい。
・セルフ・コントロール・スキルのレパートリーの獲得が目標。
・Barkley (2006)「行動抑制スキルの発達的な遅れと偏りが根本的な特徴」
① ADHDはある刺激に向けられた注意・関心がそれやすく、また戻るまでに時間がかかる
② 衝動に従って行動し、そのときのさまざまな刺激に頻繁に反応するため、自分の活動レベルを調節することが難しい
そのため…
・指示やルールに従うこと
・外言・内言を用いて自分自身の行動を調節
・情動的な問題に対処する
ことの獲得が発達的に阻害されている
行動レパートリー問題への介入がADHDへの獲得のための支援の要。一方、行動レパートリーは多く持っていることが多い
2.先行刺激と後発事象の利用
基本的なコンセプトとして先行刺激&後続事象の組み合わせと、強化と弱化を含んだ強力な後続刺激による制御が必要。
【目標】すでに持っている社会的スキルを安定させ、適応の改善と行動問題の減少
【先行刺激の活用】
・課題に含まれる手がかり刺激を多くする
・取り組んでいる課題以外の刺激を少なくする
・課題の紙の色を課題内容に対応させる
・時間制限をタイマーで具体的に示す
・ルールを文章化して明示する
・指示されたことを復唱させる
・「AしたらB」行動随伴性を明示した2、3のルールについて行動契約を行い、それを復唱しながら実行させる
【後続刺激の活用】
トークンを適用し、適切な行動には強化を提示し、不適切な行動については反応コストによる弱化を行う
※ 適切な行動をとれたときにはほめるが、そうでないときにはチラッとみるだけ
3.結果
・反応コストを含んだ行動随伴性によって、 注意や多動行動が低減するだけでなく、 学業達成が向上する → 不適切な行動が減ると相対的に適切な行動が強化される機会が増える
・子どもが自分で「する」と述べた外言と実際に行った行動との一致度に応じてフィードバックを与える言行一致訓練を行った→ 多動性と注意の持続を制御できた
・社会的スキル訓練は、8~10歳のADHD児、8回の短期間でも、社会的スキルを向上させ行動問題を低減させる効果があった。
4.環境への支援
・先行刺激・後続事象による制御、 外言・内言による行動の制御によって行動レパートリーを活用するためには家庭や学校での集団生活の中にトークン・システムも含めた明確な行動随伴性を導入する必要
↓
子ども、親や教師、仲間とのポジティブな相互作用を生み出せる
【家庭】
ペアレント・トレーニング…子どもが親の指示を聞くことや自己管理を目標とする
【学校】
・環境整備が大きな比重を占める
・学校内の随伴性管理と学業遂行への支援が、認知行動的な方法より効果がある
・クラス内では、注意集中、行動の安定、学業達成の実現、行動問題への予防的な対応が目標
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