歌集『あおむけの踊り場であおむけ』
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いいよね、ホームセンター犬連れて行けるし屋上にも入れるし
食べる?って聞かれて断る麦チョコは一緒にあつめた乳歯のかたち
アパートに吊るされているCDに映る顔するわたしなのかも
割ったあとの卵の殻のみぎひだり妹の笑窪のみぎひだり
立ったまま布団を上から覗き込む 東京タワー見たことがある
あっけなく塩をこぼしたその上を素足で歩く 生まれてみたい
わたしむかし案山子を見たら会釈して数時間スキップしなかった
遠ざかるさっきまで会っていた人に水をかけたくなって手を振る
うたたねのあとの砂漠に浮かんでる一昨日の妹のこんばんは
ぬいぐるみを増やした 洗濯機のなかに全部まだこれから入るから
線路沿いの菜の花を植えたのは腕 わたしが眠るあいだにうごく
近づくと鏡にでかくなる顔を雨に濡らして濡れて帰った
ぴったりと背中をつけた電柱にまだ一人背中をつけられる
目に力入れて拾ったどんぐりが手のひらいっぱいに軽かった
河原のある川まで電車を乗り継いで空のプールの屋上を見た
椛沢知世『あおむけの踊り場であおむけ』