1.自己概念をめぐる諸技法の考え方
【人間性心理学】
①「現実自己」:個人が現実にこうであると自ら認めている自己 ②「理想自己」:こうありたいと思っている自己 ①・②のズレが自己概念に関係する問題を生み出していると考えている。「現実自己」への肯定的な変化が、理想自己と現実自己との間の相関が高められる(Rogers 1951; Rogers & Dymond 1954)。
【認知行動療法】
自己への否定的な考えなどの認知の歪みが精神病理状態を永続させると考え(Burns 1999)、自己に対する評価のバイアスを明らかにし思考を再評価する。
【精神分析】
自己イメージは幼少期における母子関係などを通して形成されるものであり、母親という他者との関係から自己という存在のイメージが確立される。母子関係での問題が自己イメージの歪みを生み出し、精神病理が発生すると説明している(松木 1996)。
【行動分析学】
「自分の反応に反応する(Self as Responding to Own Responding)」=「人間は命令を発信するエージェントではなく、場所である」と定義している。この定義には「行動することと、行動していることを報告すること、または行動の原因を報告することには違いがある」(Skinner 1974)という考えが含まれている。
2.行動分析学における自己概念の独自性
「自分の反応に反応する」というところには
① 自分の反応という行動
② 自分の反応に反応するという行動
が含まれている。
例)水を飲む…「実際に水を飲む」という行動と「『私は今,水を飲んでいる』という自己報告」の行動の2つが含まれている。
3.文脈的行動科学 Contextual Behavioral Scienceと自己
・人間の行動を予測し影響を与えることを目的にしている行動科学で,スキナーから始まる行動分析学にルーツがある。
・理論には、行動分析学や関係フレーム理論(Relational Framing Theory 以下,RFT)(Hayes et al. 2001a)があり,自己概念に関する基礎科学研究(自己と他個体との区別の研究や関係フレーム理論を用いた自己概念の分析)と応用科学研究が行われてきた。
・応用科学研究としてACT(Acceptance and Commitment Therapy)が発展。その中で
「概念としての自己」…固定概念や自分への思い込み
「プロセスとしての自己」…時間とともに変化する自分
「文脈としての自己」…観察と視点取得
このうち「文脈としての自己」を促進することがより良く生きていくという目的に近づく行動を促進すると考えられている。
【3つのセルフの問題点】「基礎と応用のギャップ」
このセルフの説明は,臨床場面で効果的に応用することを目的とした説明であり,実験室での精緻な研究で十分に確認されていないことが多いため,基礎研究と応用研究の間には大きなギャップがあるとされている(Zettle et al. 2016)。
【参考文献】
張・谷(2023)自己概念に対する関係フレーム理論からの理解と研究の展望,立命館人間科学研究 第46号
【ベストコメント】
頭痛がしてるんですが、なかなか今日のはハードでした
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